【JAMA Netw Open】ガイドライン推奨の睡眠薬5剤を比較 「失敗しにくいのは?」
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【JAMA Netw Open】ガイドライン推奨の睡眠薬5剤を比較 「失敗しにくいのは?」

【JAMA Netw Open】ガイドライン推奨の睡眠薬5剤を比較 「失敗しにくいのは?」
Takeshimaらは、 ガイドラインで推奨されている睡眠薬の単剤療法を受けた患者を対象に、 各睡眠薬の単剤療法失敗リスクなどについて、 レセプトデータベースを用いた後ろ向き観察研究で検討した。 その結果、 エスゾピクロンと比較して、 ゾルピデムとトリアゾラムで治療失敗リスクが低く、 スボレキサントとラメルテオンで長期処方リスクが低かった。 本研究はJAMA Netw Openにおいて発表された。 

📘原著論文

Treatment Failure and Long-Term Prescription Risk for Guideline-Recommended Hypnotics in Japan. JAMA Netw Open. 2024 Apr 1;7(4):e246865. PMID: 38630476

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

レセプトデータベース研究は、 診断の詳細 (急性、 慢性)、 重症度 (不眠)、 結果の理由 (単剤治療を中止した理由) などが不明のためバイアスの残された研究成果になります。 しかしながら、 JAMA Netw Open (JAMAとは全く違いますが) 誌に掲載されたことはpositiveにとらえてよいと思います。


実臨床で最も有用な睡眠薬は?

不眠症のガイドラインでは複数の睡眠薬が推奨されているが、 実臨床で最も有用な睡眠薬は明らかになっていない。 本研究では、 ガイドライン*で推奨されている睡眠薬のうち、 単剤療法失敗のリスクが低い薬剤のほか、 長期処方リスクが高い薬剤を特定することを目的としている。

*2016米国内科医会、 2017米国睡眠医学会臨床診療GLなど

治療失敗や長期処方リスクを検討

不眠症に対する初回薬物療法がガイドライン推奨の単剤療法であった成人が対象

23万9,568例のレセプトデータを解析した (年齢中央値45歳、 2005年4月1日~21年3月31日)。

💊解析対象の単剤療法

- スボレキサント (ベルソムラ®︎)

- ラメルテオン (ロゼレム®︎)

- エスゾピクロン (ルネスタ®︎)

- ゾルピデム (マイスリー®︎)

- トリアゾラム (ハルシオン®︎)

主要評価項目は「単剤療法の失敗」

6ヵ月以内の睡眠薬の変更・追加と定義された。

副次評価項目は「単剤療法を中止」

単剤療法が失敗しなかった患者における単剤療法の中止で、 6ヵ月以内における、 2ヵ月連続の睡眠薬の無処方と定義された。

単剤療法失敗と中止の結果

ゾルピデムとトリアゾラムで単剤療法の失敗リスクが低かった (主要評価項目)

10.3% (2万4,778例) が単剤療法に失敗した。 エスゾピクロンと比較したときの各薬剤の結果は以下のとおりであった。

ラメルテオン : エスゾピクロンより多かった

調整HR : 1.23 (95%CI 1.17-1.30)、 p<0.001

ゾルピデム : エスゾピクロンより少なかった

調整HR : 0.84 (95%CI 0.81-0.87)、 p<0.001

トリアゾラム : エスゾピクロンより少なかった

調整HR : 0.82 (95%CI 0.78-0.87)、 p<0.001

スボレキサント : エスゾピクロンと有意差なし

調整HR : 1.04 (95%CI 0.99-1.08)、 p=0.09

ラメルテオンとスボレキサントで長期処方リスクが低かった

単剤療法に失敗しなかった患者のうち、 84.6%が単剤治療を中止した。 エスゾピクロンと比較したときの各薬剤の結果は以下のとおり。

ラメルテオン : エスゾピクロンより多かった

調整OR : 1.31 (95%CI 1.24-1.40)、 p<0.001

スボレキサント : エスゾピクロンより多かった

調整OR : 1.20 (95%CI 1.15-1.26)、 p<0.001

ゾルピデム : エスゾピクロンと有意差なし

調整OR : 1.00 (95%CI 0.97-1.04)、 p=0.97

トリアゾラム : エスゾピクロンと有意差なし

調整OR : 1.02 (95%CI 0.97-1.07)、 p=0.50

今後、 交絡因子の考慮が必要

著者らは、 「本研究では交絡因子が制御されておらず、 これらの結果からガイドラインで推奨されている睡眠薬の薬理学的特性に関する結論を得ることはできない」 として、 不眠症の診断 (慢性 vs 急性)、 不眠症と精神症状の重症度、 睡眠薬処方に対する医師の態度といった交絡因子を考慮した研究の必要性を強調している。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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