HOKUTO編集部
1年前
循環器科からご要望を頂いていた動脈硬化性疾患の発症予測ツールである久山町スコア (ガイドライン2022年版) について、 オリジナル版との違いや使用上の注意点をまとめました。 診療にお役立て下さい。
2022年、 後述の久山町研究をもとに、 日本人の動脈硬化性心疾患の10年リスクを予測する新しいスコアとして報告された¹⁾。
本邦の動脈硬化性疾患予防ガイドラインにおける脂質管理目標設定のためのツールとして、 従来は吹田スコアが用いられていたが、 2022年版より新たに本スコアが採用されている²⁾。
久山町スコア¹⁾をもとにしたフローチャートを、 一般社団法人日本動脈硬化学会 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」より引用する²⁾。 なお、以下の各図表については久山町スコアに関する原著論文¹⁾またはガイドライン²⁾の記載をもとにHOKUTO監修医が作図したものである。
一次予防|まず生活習慣の改善を行った後薬物療法の適用を考慮する
二次予防|生活習慣の是正とともに薬物治療を考慮する
下表①~⑥のポイント合計より年齢階級別の絶対リスクを推計する。
1961年から久山町の40歳以上の住人を対象に行われている前向きコホート研究。 久山町研究において10年以内に動脈硬化性心血管疾患 (冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞) 発症確率が2%未満を低リスク、 2%以上10%未満を中リスク、 10%以上を高リスクと設定しており、 ガイドラインではその値を採用している。
実際の使用前には、 一般社団法人日本動脈硬化学会 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」をご確認ください。 以下に使用上の注意例を記載いたします。
*動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版で採用されていた吹田スコアは冠動脈疾患をアウトカムとする絶対リスクを推計することができるが、 欧米のリスクスコアで示されているような脳卒中が含まれていない。近年、 アテロー ム血栓性脳梗塞が増加傾向で、 脳卒中の中からアテローム血栓性脳梗塞のみを取り出して冠動脈疾患と合わせた複合アウトカムとするスコアである久山町スコアが適切であると判断された。
🔢 吹田CVDスコア
最終更新日:2023年6月28日
HOKUTO編集部医師監修
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。