海外ジャーナルクラブ
1年前
Prakoeswaらは、 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応するインドネシアの医療従事者を対象に、 医療用手袋の使用による職業的皮膚炎について横断的研究で検討。 その結果、 1日2時間以上手袋を使用する人やアトピー性皮膚炎、 手の皮膚炎などの既往歴のある人など、 リスクの高い人については、 医療用手袋の使用を慎重に検討すべきとの結論がなされた。 本研究は、 Dermatol Res Pract誌において発表された。
結論にはThe use of gloves by healthcare workers should be considered carefully…とかなり強い語気で記載されていますが、 多変量解析もなされておらず、 強い結論が得られる研究ではありません。
医療従事者の皮膚障害は、 世界中の多くの施設で報告されている。 職業性皮膚炎は、 最もよく知られているものの1つであり、 社会的に重要な健康問題である。 特に手袋の使用は、 皮膚炎の発生や悪化の危険因子の1つである。
インドネシアのCOVID-19指定病院において個人防護具 ( personal protective equipment:PPE) を用いて患者のケアを行った医療従事者:845人
質問票を基に、 被験者の特徴 (年齢、 性、 就業状況)、 手袋の使用に関連する皮膚障害、 手袋の使用状況、 既往歴のデータを収集した。
医療従事者845人中、 18.46% (156人) が手袋誘発性の手指皮膚炎を発症した。
最も発現率の高い症状は皮膚の瘙痒 (44.23%) で、 最好発部位は手掌 (48.72%) であった。
医療従事者における手袋の使用と手袋誘発性皮膚炎との間には有意な関連が認められ、 特に、 1日2時間以上の手袋使用と有意な関連が認められた。
手袋誘発性皮膚炎は、 アトピー性皮膚炎や手の皮膚炎の既往歴を有するものとも有意な関連が認められた。
医療従事者における手袋誘発性皮膚炎の発生を予防し、 安全な職場環境を提供するために、 医療用手袋の使用を慎重に検討すべきである。 特に1日2時間以上手袋を使用する人やアトピー性皮膚炎または手の皮膚炎の既往歴のある人など、 リスクの高い人については、 特に配慮が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。