切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?
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HOKUTO編集部

19日前

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?
切除不能進行・再発胃癌においてバイオマーカー検査を実施するタイミングは、 そのバイオマーカーがコンパニオン診断かどうかや治療方針への影響などを考慮して検討する必要がある。 
本稿では、 本年8月に日本胃癌学会が発出した「切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き 第1.1版」¹⁾を基に、 バイオマーカー検査を実施するタイミングをまとめる。 

関連記事 : 胃癌バイオマーカー 4つの比較


4検査を同時に実施

最も推奨される検査方法

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?

各検査を順次実施するより工程 (薄切など) が省けるため、 微小な生検検体でも効率的に検査が実施できる。 検体の採取・保管・管理の観点からも望ましい。

各検査結果が出るまでの時間の短縮が期待できるため、 予後不良な進行胃癌患者に早期から最適な治療が開始できる。 また、 4検査の結果を考慮した適切な治療方針の決定が可能である。

以上より、 検査項目の優先順位はつけず4検査を同時に実施することが推奨される。 ただし、 4検査を確実に実施できる環境が必要である。


4つの検査を同時に実施できない場合は、 まず "HER2検査+必要な検査"を実施する。

HER2検査においてIHC検査スコア2+となった場合、 HER2 ISH検査で遺伝子増幅を確認する必要があり、 結果が判明するまでに時間を要することが想定される。 治療開始までの時間を短縮し最適な治療薬の投与機会を逸しないため、 HER2検査に加えて、 必要な検査を平行して実施すべきである。

HER2 + CLDN18

先に「1次治療の開始に不可欠な検査」

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?

トラスツズマブのHER2検査ならびにゾルベツキシマブのCLDN18検査は、 いずれもみなしコンパニオン診断・コンパニオン診断であり、 常に1次治療開始前に行うことが推奨される。

PD-L1検査、 MSI/MMR検査のタイミング

ニボルマブやペムブロリズマブに対するPD-L1およびMSI/MMRの検査結果に基づく治療選択については、 各種ガイドラインおよび適正使用ガイド等での推奨を参照する。

以下の場合は、 コンパニオン診断薬であるMSI/MMR検査結果の確認が必要であることを考慮し、 患者の状態や各施設の状況を鑑みた上で、 PD-L1検査およびMSI/MMR検査の適切なタイミングを決定する。

- 1次治療前にニボルマブやペムブロリズマブ併用化学療法の有用性を考慮する必要がある場合

- 2次治療としてペムブロリズマブ単独療法を行う場合

HER2 + CLDN18 + PD-L1

先に「1次治療の薬剤に関連する検査」

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?

HER2検査、CLDN18検査、 PD-L1検査を行うことにより、トラスツズマブ、 ゾルベツキシマブ、 ニボルマブまたはペムブロリズマブの治療選択が概ね可能となる。

MSI/MMR検査のタイミング

頻度は低いものの、 MSI/MMRの症例が5%程度存在することに注意が必要である。

以下の場合は、 コンパニオン診断薬として検査が必要であることを考慮し、 患者の状態や各施設の状況を鑑みた上で、 MSI/MMR検査の適切なタイミングを考慮する。

- 1次治療前にニボルマブやペムブロリズマブ併用化学療法の有用性を予測したい場合

- 2次治療としてペムブロリズマブ単独療法を行う場合

HER2 + CLDN18 + MSI/MMR

先に「薬剤選択に影響がある検査」

切除不能進行・再発胃癌 バイオマーカー検査を実施するタイミングは?

HER2検査、 CLDN18検査、 MSI/MMR検査を行うことで、 1次治療でHER2陽性例に対するトラスツズマブ、 CLDN18陽性例に対するゾルベツキシマブ、 MSI-high/dMMR症例に対する免疫チェックポイント阻害薬の選択が可能となる。

PD-L1検査のタイミング

1次治療でもCPSが高値である際に、 免疫チェックポイント阻害薬を考慮できないことに留意する。

ニボルマブやペムブロリズマブに対するPD-L1検査は、 各種ガイドラインや適正使用ガイド等での推奨、 患者状態や各施設の状況を鑑みた上で、 適切なタイミングを検討する。

4つの検査を実施しないことで、 患者への不利益が生じる可能性があることに留意する。 例えばHER2検査、 CLDN18検査、 PD-L1検査が実施され、 MSI/MMR検査が行われなかった場合、 患者のMSI/MMR検査に基づいた治療機会が失われる可能性がある。
最も重要なのは、 「4つの検査が確実に実施され、 検査結果から推察される重要な治療が見落とされないようにすること」 である。 この点を考慮して、 各検査の実施タイミングを検討する。

<出典>
1) 日本胃癌学会 : 「切除不能進行・再発胃癌バイオマーカー検査の手引き」 第1.1版.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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