【ToGA試験】未治療胃・胃食道接合部癌へのトラスツズマブ+化学療法
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1年前

【ToGA試験】未治療胃・胃食道接合部癌へのトラスツズマブ+化学療法

【ToGA試験】未治療胃・胃食道接合部癌へのトラスツズマブ+化学療法
化学療法未治療の進行胃・胃食道接合部癌患者において、 トラスツズマブ+化学療法の併用の効果を、 化学療法単独を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験ToGAの結果より、 HER2陽性患者の全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

原著論文

解析結果

Trastuzumab in combination with chemotherapy versus chemotherapy alone for treatment of HER2-positive advanced gastric or gastro-oesophageal junction cancer (ToGA): a phase 3, open-label, randomised controlled trial. Lancet. 2010 Aug 28;376(9742):687-97. PMID: 20728210

関連レジメン

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ToGA試験の概要

対象

  • 化学療法未治療の手術不能な局所進行性、 再発性または転移性の胃・食道胃接合部癌患者
  • 20-75歳、 左室駆出率 (LVEF) ≧50%

方法

594例を以下の2群に1:1で割り付けた。

  • トラスツズマブ+化学療法群 (298例)
トラスツズマブ8mg/m² (2サイクル目以降は6mg/kg) を3週毎に投与+化学療法*を3週毎に6サイクル実施
  • 化学療法単独群 (296例)
化学療法*を3週毎に6サイクル実施
*以下のいずれかを選択
①XP療法:カペシタビン1000mg/m²を1日2回 day1-14+シスプラチン80mg/m²day1
②FP療法:フルオロウラシル 800mg/m²day1-5+シスプラチン80mg/m²day1

評価項目

主要評価項目:OS

副次評価項目:無増悪生存期間 (PFS) 、 無増悪期間 (TTP) 、 奏効率 (ORR) 、 奏効期間 (DOR) 、 安全性

ToGA試験の結果

患者背景

  • 年齢中央値は58.5~59.4歳、 男性は75~77%、 アジア人は51~54%、 カペシタビンを含む化学療法を受けたのは87~88%
  • HER2高発現患者*は446例
*免疫組織化学染色2+かつFISH陽性、 または免疫組織化学染色3+

追跡期間中央値

  • トラスツズマブ+化学療法群:18.6ヵ月
  • 化学療法単独群:17.1ヵ月

トラスツズマブ+化学療法のサイクル数中央値は8サイクル

OS中央値

  • トラスツズマブ+化学療法群:13.8ヵ月
(95%CI 12-16ヵ月)
  • 化学療法単独群:11.1ヵ月
(95%CI 10-13ヵ月)
HR 0.74 (95%CI 0.60-0.91)、 p=0.0046

HER2高発現患者

  • トラスツズマブ+化学療法群:16.0ヵ月
  • 化学療法単独群:11.8ヵ月
HR 0.65 (95%CI 0.51-0.83)

HER2低発現患者

  • トラスツズマブ+化学療法群:10.0ヵ月
  • 化学療法単独群:8.7ヵ月
HR 1.07 (95%CI 0.70-1.62)

OSのサブグループ解析

トラスツズマブ使用の有無と、 HER2高発現・低発現の2つのグループ間に有意な相互作用を認めた (p=0.036) 。

PFS中央値

  • トラスツズマブ+化学療法群:6.7ヵ月
(95%CI 6-8ヵ月)
  • 化学療法単独群:5.5ヵ月
(95%CI 5-6ヵ月)
HR 0.71 (95%CI 0.59-0.85)、 p=0.0002

TTP中央値

  • トラスツズマブ+化学療法群:7.1ヵ月
(95%CI 6-8ヵ月)
  • 化学療法単独群:5.6ヵ月
(95%CI 5-6ヵ月)
HR 0.70 (95%CI 0.58-0.85)、 p=0.0003

ORR

  • トラスツズマブ+化学療法群:47%
  • 化学療法単独群:35%

DOR中央値

  • トラスツズマブ+化学療法群:6.9ヵ月
(95%CI 6-8ヵ月)
  • 化学療法単独群:4.8ヵ月
(95%CI 4-6ヵ月)
HR 0.54 (95%CI 0.40-0.73)、 p<0.0001

有害事象 (AE)

  • 投与量の変更・中断に至ったAEの割合は、 2群間で差がなかった (トラスツズマブ+化学療法群84%、 化学療法単独群82%)。
  • 治療関連死亡率は、 トラスツズマブ+化学療法群3%、 化学療法単独群1%であった。
  • 心臓関連のAEは稀であり、 トラスツズマブ+化学療法群 (6%) と化学療法単独群 (6%) の間に差はなかった。

治療関連AE (グレード3、 4) の発現率

  • トラスツズマブ+化学療法群:68%
  • 化学療法単独群:68%

著者らの結論

化学療法未治療の進行胃・胃食道接合部癌患者において、 トラスツズマブ+化学療法の併用は、 化学療法単独と比較して、 HER2高発現患者のOSを有意に改善することが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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