【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療
著者

HOKUTO編集部

2ヶ月前

【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療

【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療

How I Treat: Differentiation Therapy in Acute Myeloid Leukemia.

Blood. 2024 Jul 8:blood.2024024008.

急性骨髄性白血病における分化症候群の診断や重症度分類、 治療に関して、 Blood誌にまとめられていたので紹介する。

分化症候群とは

分化症候群 (differentiation syndrome ; DS) は、 急性前骨髄球性白血病 (APL) におけるオールトランスレチノイン酸 (ATRA) 使用時などに発生する重要な合併症として知られている。

また、 近年ではイソクエン酸デヒドロゲナーゼ (IDH) 1/2阻害薬やメニン阻害薬などを使用した際にも同様の合併症が認められることが報告されており、 DSに関する診断・治療の認識がますます重要となっている。

分化症候群の診断と重症度分類

Frankelらの基準 (1992年)²⁾

以下の7つの徴候や症状のうち、 1つ以上があればDSと診断することが提唱された。

 ① 呼吸困難
 ② 原因不明の発熱
 ③ 5kg以上の体重増加
 ④ 原因不明の低血圧
 ⑤ 急性腎不全
 ⑥ 肺浸潤影
 ⑦ 胸水・心嚢水

Montesinosらの基準 (2009年)³⁾

その後、 上記の7つの徴候や症状より、 中等症DS、 重症DSと大別することが提唱された。 なお徴候や症状が1つでは診断には不十分とされた。

 2~3個該当 : 中等症DS
 4~7個該当 : 重症DS

本著者らの推奨事項

分化誘導療法の開始時は、まずDSを強く疑う。

基準に含まれないやや一般的ではない徴候や症状も確認し、 1つ以上該当すればDSと診断するが、 非特異的な症状も多く上述の通り1つだけでは診断に不十分とする意見もある。

なお、 新規治療法に対して、上記の重症度評価が適用できるかについては検証が必要である。

分化症候群の治療法別特徴

標的に対する治療法によってDSの頻度や重症度、 症状が異なる。 現在報告されている情報は以下のとおりである。

治療法別のDSの頻度と重症度

【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療
ATRA ; オールトランスレチノイン酸、 ATO ; 三酸化二ヒ素、 I ; 阻害薬、 Ena ; enasidenib、 Ivo ; ivosidenib、 Olu ; olutasidenib、 Gilt ; ギルテリチニブ、 Quiz ; キザルチニブ、 Rev ; revumenib
参考文献1) を基に編集部作成

薬剤ごとのDSの症状

【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療
*トレチノイン/三酸化二ヒ素においてはまれではあるが、 ビリルビン増加、 眼疾患、 膵炎も報告されている。
参考文献1) を基に編集部作成

出典

1. Blood. 2024 Jul 8:blood.2024024008.

2. Ann Intern Med. 1992 Aug 15;117(4):292-6.

3. Blood. 2009 Jan 22;113(4):775-83.

関連コンテンツ

新規高リスク急性前骨髄球性白血病にATRA-ATO併用療法でEFS改善

EHA2024レポート : APOLLO試験

NPM1変異陽性R/R AMLへのziftomenibは有効かつ安全

EHA2023レポート : KOMET-001試験
【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療

ポストのGif画像
【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【Blood】急性骨髄性白血病における分化症候群の治療