寄稿ライター
6ヶ月前
高収入である医師は、 さまざまな投資に勧誘されることも多いです。 連載 「医師による医師のための財テク術」 の13回目では、医師が勧誘される代表格 「ワンルームマンション投資」 について考察します。
一口に不動産投資といっても、 色々な投資戦略があります。 例えば、 以下のような観点で様々な組み合わせで分けることができます。
ところで、 皆さんは急に不動産会社から 「毎年の税金にお困りでないですか?節税対策のいい方法があります!」 のような勧誘の電話がかかってきた経験はありませんか?
こうした営業をしかけてくるのは、 ほとんどが1Rマンション業者です。 そういう意味で、 医師に最も身近な不動産投資かもしれません。 しかし、 実は1Rマンション投資で利益を出すのは極めて難しいです。 その実態を解説します。
100年超えの物件も多い欧米とは違い、 日本人は新築好きで知られています。 新築は、 賃貸の家賃も少し高くなります。 マンション購入も同様で、 新築物件は本来の市場価格より2~3割程度高く売られています。
1Rマンション業者は 「セミナーを受講するだけで〇万円」 といった感じでバンバン宣伝広告費を使っていますが、 これらも当然価格に上乗せされています。 中古ならいいかというと、 1Rマンション業者を介して購入する場合、 仕入れ業者 (ブツ上げ業者) と販売業者の二重の利益が乗っかるので、 やはり割高になります。
つまり、 買った瞬間に2~3割は損をしてしまうのです。 その後、 新築プレミアムがなくなることで市場価格も下がりますが、 ローンの返済は最初は金利分が高くなってしまうため、 残債の減り方はゆっくりです。 市場価格に残債が追いつくのにかなりの時間がかかってしまうのです【上図参照】。
どれだけ業者に利益を載せられたかによりますが、 通常は追いつくのに10年程度かかるとされています。
不動産投資は、 売却まで含めてトータルで勝ち負けが決まります。 そのため、 売却しやすい物件を選ぶというのも重要な選択肢です。
売却するには買い手が必要ですが、 1Rマンションを自宅用に買う人はほとんどいません。 そもそも35㎡以下では住宅ローンが組めないため、 買い手は1Rマンション販売業者や不動産投資家に限られます。 需給バランスが悪く、 再販価格は低くなりがちです。
また、 買い手の融資の問題もあります。 1Rマンションは金融機関の評価額が著しく低く、 大手銀行は融資してくれないので、 買主はノンバンクから融資を受けることになります。 そして、 法定耐用年数を超える年数の融資は普通してくれません。
RCマンションの耐用年数が47年で、 30年ローンを組むことが多いことを考えると、 築18年以上の物件は買主にとってキャッシュフローが悪くなるため需要がないといえます。
実際、 REINSという不動産業者専用サイトをみると築20年の超える1Rマンションの取引成立事例は極端に少なくなるといいます。
残債と市場価格の関係を考えると、 1Rマンションの出口戦略は築10~18年で売却するか、 一生持ち続けるかの2択になってしまうのです。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回は1Rマンションの節税効果について考えていきたいと思います。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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