海外ジャーナルクラブ
2年前
Sánchez-Vizcaínoらは, 急性骨髄性白血病 (AML) の診断の季節変動について検討. その結果, AML診断には季節性があり, 感染症や環境要因などの季節的要因が病気の発症や増悪に影響を与えることが示唆された. 本研究は, Br J Haematol誌において発表された.
AMLに限定された観察研究で, 1月が最もその頻度が多く, 8月, 11月が少ないという結果でした. これはもう少し全体像を見る必要がありそうですね. 仮に諸要因で1月はどの疾病も発生率が高く, 夏場やクリスマス前には少ないという傾向が存在した場合に, 実はその傾向が全体よりはAMLが弱いとなった場合には話が変わってきます. 今回の研究は臨床症状なども解析に入っていない粗いデータセットから導き出されており, やや引いて眺めた眺めた方が良さそうです. 研究も絵画と同じように目を凝らしてみた方がいいのか, 少し引いた位置から眺めた方がいいのか, いろんなパターンがあると思います.
これまで, AMLの病因に季節的要因が果たす役割は不明であった. AMLの診断に季節性があることが示されれば, その背景にある季節的病因の裏付けとなる.
対象:2004~2015年の間にスペインで診断されたAML患者:26,472名
スペインの病院退院登録からの人口ベースのデータを使用し, 全体集団および性別・年齢によるサブグループにおけるAML診断の季節的・長期的傾向の可能性を調査した.
GLARMAモデルを用いて, AMLの毎月の発生率が毎年0.4% (95%CI 0.2-0.6%, P=0.0011) 増加し, 長期的に増加傾向を示していることがわかった.
AMLの診断に季節性があることは, 感染症や環境要因などの季節的要因が病気の発症や増殖に影響を与えることを強く示唆しており, 予防の可能性を示唆している.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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