海外ジャーナルクラブ
1年前
Hasegawaらは、 非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクを日本の医療情報データベースであるMID-NET®のリアルワールドデータを用いたネステッドケースコントロール研究で検討した。 その結果、 非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬と比較して胃腸穿孔・腸閉塞リスクが有意に低いことが明らかとなった。 本研究はTher Innov Regul Sci誌において発表された。
データベース研究のため、 診断名、 重症度が不明である点が本研究のlimitationです。
胃腸穿孔・腸閉塞は、 抗精神病薬によって引き起こされる有害事象の1つであるが、 各抗精神病薬により添付文章上の警告情報は異なっている。
日本の医療情報データベース 「MID-NET®」 のリアルワールドデータを用いたネステッドケースコントロール研究。 非定型抗精神病薬を処方された患者における消化管穿孔および腸閉塞のリスクを、 定型抗精神病薬を処方された患者と比較し評価した。
2009~2018年
非定型抗精神病薬を処方された患者の胃腸穿孔・腸閉塞リスクは、 定型抗精神病薬を処方された患者に比べ有意に低かった。
調整後OR:0.48 (95%CI 0.29-0.80)
抗精神病薬処方を長期化しても主解析と同様の結果が得られた。
リスペリドン、 クエチアピン、 オランザピン、 アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬の種類によるリスクの差はみられなかった。
非定型抗精神病薬を処方された患者における胃腸穿孔・腸閉塞リスクの低さに関連する安全性プロファイルは、 臨床現場で抗精神病薬を選択する際に、 薬剤の適切な使用を行う観点から考慮すべきポイントとなりうる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。