海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Psychogiosらは、 中血管閉塞 (medium vessel occlusion : MeVO) または遠位血管の閉塞を有する脳卒中患者を対象に、 血管内治療 (EVT) の有効性および安全性を最善の薬物療法と比較する多施設共同評価者盲検無作為化比較試験を実施した。 その結果、 EVTは薬物療法単独と比べて、 後遺症の程度や死亡率の低下が認められなかった。 試験の結果はNEJM誌に発表された。
第三者からすると本研究が完結編のように見えますが、 結論には 「今後のRCTで、 EVTが有用な可能性がある患者について検討する必要がある」 とあり、 著者らの次回作への強い意志を感じます。
大血管閉塞 (Large vessel occlusion : LVO)を伴う脳卒中のEVTは有効かつ安全であることが知られているが、 MeVOあるいは遠位血管の閉塞に対する有用性は不明である。
そこで今回、 MeVOや遠位血管閉塞に対するEVTの有用性を無作為化比較試験で評価した。
中血管あるいは遠位血管の孤立性閉塞*を有する脳卒中患者543例を、 最後に正常な状態が確認されてから24時間以内に、 以下の2群に1 : 1の割合で割り付けた。
主要評価項目は、 modified Rankin Scale (mRS) で評価した90日時点の後遺症の程度とした。
入院時のNational Institutes of Health Stroke Scale (NIHSS) 中央値は6 (IQR 5-9) であった。
ベースラインの主な閉塞部位はM2セグメント (44.0%)、 M3セグメント (26.9%)、 P2セグメント (13.4%)、 P1セグメント (5.5%) であった。
対象患者の65.4%に血栓溶解療法が実施された。
主要評価項目である90日時点のmRSは、 EVT+薬物療法群および薬物療法単独群で有意差が認められなかった (スコア改善の共通OR 0.90 [95%CI 0.67-1.22]、 p=0.50)。
全死亡率は、 EVT+薬物療法群が15.5%、 薬物療法単独群が14.0%と両群で同程度であり、 症候性頭蓋内出血の発現率も同様であった (それぞれ5.9%、 2.6%)。
著者らは 「EVTにより、薬物療法単独と比べて後遺症の程度や死亡率が低下することはなかった。 今後の無作為化試験で、 EVTが有用な可能性がある患者を検討する必要がある」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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