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1年前
Kumらは、 難治性または原因不明の慢性咳嗽患者を対象に、 選択的p2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサントの有効性および忍容性を系統的レビューとメタ解析で検討した。 その結果、 ゲーファピキサント45mgの1日2回投与はプラセボと比較して、 咳嗽頻度、 咳嗽重症度、 および咳嗽特異的QOLにわずかな改善をもたらすが、 有害事象 (特に味覚関連有害事象) のリスクが高いことが確認された。 本研究はJAMA誌において発表された。
このシステマティックレビュー/メタアナリシスの結果がJAMAに掲載された意義が大きいです。 安全性に対してリスクが高いことが確認され、 また効果もわずかであるという結果は臨床現場での処方に大きなインパクトを与える研究結果と言えそうです。
ゲーファピキサントは、 難治性または原因不明の慢性咳嗽の治療薬として新たに開発された薬剤である。
MEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled TrialsおよびWeb of Scienceの検索により、2014年11月~2023年7月において、8週間以上持続する難治性または原因不明の慢性咳嗽患者を対象とし、 ゲーファピキサントとプラセボ、 またはゲーファピキサント2用量以上を比較した並行群間またはクロスオーバーの無作為化比較試験 (RCT) を対象として解析した。
VitaloJAK咳モニターを用いて測定した24時間、 覚醒時および睡眠時の咳嗽頻度 (MID:20%)、 咳嗽の重症度 (visual analog scale[VAS]を用いて測定、 高値ほど重症、 MID:30mm)、 および咳嗽特異的QOL (LCQ、 スコア範囲 3~21、 MID:1.3点)、 治療関連有害事象、 投与中止に至った有害事象、 味覚関連有害事象
ゲーファピキサント45mgの1日2回投与は、 覚醒時の咳嗽頻度 (17.6%減少、 95%CI 10.6-24.0、 エビデンスの確実性:中)、 咳嗽の重症度 (平均群間差:-6.2mm、 95%CI -4.1--8.4、 エビデンスの確実性:高)、 および咳嗽特異的QOL (平均差:1.0点、 95%CI 0.7-1.4、 エビデンスの確実性:中) に対して、 わずかな効果を示した。
ゲーファピキサント45mgの1日2回投与
プラセボと比較し、 治療関連有害事象 (100例当たり32例増加、 95%CI 13-64、 エビデンスの確実性:中)、 および味覚関連有害事象 (100例当たり32例増加、 95%CI 22-46、 エビデンスの確実性:高) に関し、 重大な増加を引き起こした。
ゲーファピキサント 15mgの1日2回投与
ゲーファピキサント 15mgの1日2回投与については、 味覚関連有害事象に及ぼす影響が小さいことが示唆された (患者100例当たり6例増加、 95%CI 5-8、 エビデンスの確実性:高)。
ゲーファピキサント45mgの1日2回投与はプラセボと比較して、 咳嗽頻度、 咳嗽重症度、 および咳嗽特異的QOLにわずかな改善をもたらすが、 有害事象 (特に味覚関連有害事象) のリスクが高いことが確認された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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