【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)
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HOKUTO編集部

6ヶ月前

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)
抗Nectin-4標的抗体薬物複合体 (ADC) エンホルツマブ ベドチンと抗PD-1抗体ペムブロリズマブの併用療法 (EV+P) が、 局所進行性または転移性尿路上皮癌 (la/mUC) に対する1次治療を適応として、2024年9月末に承認されました。 本稿では注目の関連コンテンツをまとめてお届けいたします。

エンホルツマブ ベドチンとは

商品名 : パドセブ®点滴静注用

抗Nectin-4標的抗体薬物複合体 (ADC)

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)

添付文書¹⁾ /適正使用情報²⁾³⁾*

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効能または効果

根治切除不能な尿路上皮癌

添付文書 2024年09月改訂(第8版)より引用

用法および用量

EV-302試験 (KEYNOTE-A39試験)⁵⁾

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)

ペムブロリズマブは2年間で終了するが、 EVは効果が続き副作用が許容される限り継続

Front Oncol. 2024 Apr 22:14:1326715⁵⁾より作図

減量の目安

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)
パドセブ®電子添文 (2023年10月改訂 第7版)¹⁾より作図

EV+P療法の特徴と注意点

監修 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

1次治療の代表的レジメン

EV+Pembro療法はGEM+CDDP/CBDCA療法と比較しPFS、 OS、 RRが優れ、 局所進行/転移性尿路上皮がんの1次治療の代表的レジメンである。

EVは3次治療での単剤療法 と異なり、 Day1,8で投与し21日を1サイクルとすることに注意する。

【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)

>>単剤療法のレジメン詳細はこちら

ペムブロリズマブは、 2年間で終了するが、 EVは効果が続き副作用が許容される限り継続する。

エンホルツマブ ベドチンの作用機序

エンホルツマブ ベドチンは癌細胞表面に発現するNectin-4を標的とする抗体薬物複合体である。 Nectin-4に結合後、 MMAEが細胞内で遊離し微小管阻害作用により効果を発揮する。

関連する配信済み記事

有効性・安全性に関する最新学会発表

EV-302/KEYNOTE-A39試験

ESMO 2023 Thomas Powles氏
【注目】尿路上皮癌1次治療としてのEV+P療法 (2024年9月承認)
(ESMO 2023発表データを基に編集部作成)
前治療歴のない局所進行または転移性の尿路上皮癌 (la/mUC) 患者を対象に、 抗Nectin-4標的抗体薬物複合体エンホルツマブ ベドチン (EV) とペムブロリズマブ (Pembro) の併用療法の有効性および安全性について、 従来の化学療法を対照として比較検討した第Ⅲ相ランダム化比較試験

有効性|EV + Pembro群

  • mPFS : 12.5ヵ月 (95%CI 10.4-16.6ヵ月)
化学療法群 : 6.3ヵ月 (95%CI 6.2-6.5ヵ月)
HR 0.45 (95%CI 0.38-0.54)、 p<0.00001
  • mOS : 31.5ヵ月 (95%CI 25.4ヵ月-NR)
化学療法群 : 16.1ヵ月 (95%CI 13.9-18.3ヵ月)
HR 0.47 (95%CI 0.38-0.58)、 p<0.00001
  • ORR : 67.7% (95%CI 63.1-72.1%)
化学療法群 : 44.4% (95%CI 39.7-49.2%) p<0.00001

安全性|EV + Pembro群の主な有害事象

  • 皮膚反応 70% (Grade3、 4 : 17%)
  • 末梢神経障害 67% (Grade3 : 7%)
  • 高血糖/糖尿病 13.0% (Grade3、 4 : 8.9%)
  • 肺炎 10% (≧Grade3 : 4%、 致死的 : 0.4%)
  • 下痢 38% (≧Grade3 : 3.6%)
  • 便秘 26%
  • 吐き気 26%
  • 味覚障害 21%
  • 倦怠感 51% (Grade3、 4 : 6%)
  • ドライアイ 24%
Front Oncol. 2024 Apr 22:14:1326715⁵⁾より引用

患者報告アウトカムの最新学会発表

EV-302試験の患者報告アウトカムの結果

ASCO Breakthrough2024 聖マリアンナ医科大学 菊地栄次氏
EV+Pはプラチナベースの化学療法と比べてQOLや疼痛を悪化させることなくPFSおよびOSを改善させることが示された。 

NEJM 2024 最新論文

未治療尿路上皮癌に対するエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブが著効

N Engl J Med. 2024 Mar 7;390(10):875-888. PMID: 38446675
Powlesらは、 未治療の局所進行または転移性尿路上皮癌患者を対象に、 抗Nectin-4抗体微小管阻害薬複合体エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法の有効性と安全性を第Ⅲ相国際共同非盲検無作為化比較試験EV-302で検討。 その結果から、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) の有意な改善が示された。 

専門医、薬剤師による解説記事

専門医寄稿 : ESMO 2023 (三浦裕司氏)

三浦裕司氏 (虎の門病院臨床腫瘍科部長)

専門医解説 : ASCO GU 2024 (近藤千紘氏)

近藤千紘氏 (国立がん研究センター東病院腫瘍内科)

解説 : 尿路上皮がん薬物療法 (やくごろう氏)

ユーザー投稿 : やくごろう (がん専門薬剤師)

抗体薬物複合体について

肺癌注目キーワード : 抗体薬物複合体

吉田達哉氏 (国立がん研究センター中央病院呼吸器内科医長)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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