「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)
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インタビュー

2ヶ月前

「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)

 「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)
誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授の辻村晃先生に話を聞いた。  (全2回の第2回) 

>>第1回はコチラ

転機

50歳で飛び込んだ新天地・順天堂大

米国留学から帰国後は大阪大学に戻り、 生殖医療や更年期医療、 性機能、 前立腺など幅広く臨床・研究・教育に携わった。 研修医時代、 留学期間も含め、 大阪大学での在学は実に19年となった。

そんなキャリアの大きな転機となったのが、 50歳を迎えた2014年、 順天堂大学への異動の打診だった。

「研究も含めて大阪大病院での勤務が充実していたので、 50歳ごろには大阪大病院を離れて臨床中心の病院に戻ろうと元々思っていました。 そんな折、 学会などで顔を合わせる機会も多かった順天堂大学泌尿器科の堀江重郎教授から、 研究継続を含め順天堂大学に来ないか、 と誘いを受けました」

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写真はイメージです(左は大阪城、 右は東京タワー)

「正直、 米国留学よりも決心が必要でした。 大阪と東京では文化も違うし、 同じ大学病院でもやり方が違う。 根っからの大阪人である自分のキャラクターが東京で受け入れられるか、 という不安もありました」

家族を大阪に残し、 単身赴任での生活にも迷いがあった。

「誘いを受けたことはもちろん光栄なことだと理解していましたが、 それでも不安の方が大きかったです。 ただ、 これまでの研究を含めたアカデミックな活動を継続できるという喜びもあり、 多くの先輩医師へ相談した後、 最終的には家族会議の開催を得て、 新天地での挑戦を決意しました」

症例も人も多様

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順天堂大学浦安病院にて (一部画像処理をしています)

東京での生活は意外に早く馴染んだ。

「順天堂大の先生方は、 温かい雰囲気で迎えてくれました。 50歳まで大阪にいて、 標準語に変えることは土台無理な話。 関西弁のまま笑いを取りに行くと、 東京でもウケることが分かりました (笑)。 そこは有り難かったです」

患者層の多様さや企業との新しい出会いも、 順天堂大学ならではの経験。 大阪大学で続けてきた基礎研究から、 順天堂大学では臨床データを基盤とした臨床研究へと軸足を移し、 研究の方向性も大きく変化した。

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順天堂大学浦安病院で初めてロボット手術をした時の写真 (2017年) (一部画像処理をしています)

「新天地への第一歩は本当に迷いましたが、 順大に来たからこそできたことがたくさんあります」

次なるステージ

日本初 「男性不妊診療のガイドライン」 作成

日本の泌尿器科医は約1万人。 その中で日本生殖医学会の専門資格を持つ泌尿器科医はわずか80人余りしかいない。 専門性の高い領域で均一な診療水準を保つために、 ガイドライン作成は長年の課題だった。

 「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)
順天堂大学浦安病院で初めて生殖医療の手術をした時の写真 (2016年)

「ガイドラインの必要性は20年以上前から叫ばれていましたが、 エビデンスレベルの高い研究成果が世界的に少ないことなどの理由から作成されていなかった。 そんな折、 私に声がかかり、 2024年2月、 日本初の『男性不妊症診療ガイドライン2024年版』を発刊しました」

2022年には生殖医療の保険適用も始まり、 標準的な治療を提供するための基盤が整った。 現在は男性性機能障害の診療ガイドライン策定にも取り組み、 2025年9月19日に発刊した。

「昔は『不妊=女性の問題』と捉えられがちでした。 でも今は男性側の検査や治療も必要だという認識が不可欠です。 治療を担える医師を増やしていくことも重要です」

次世代に託すために

 「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)
写真はイメージです

次世代を担う若手医師に伝えたいことがある。 特別な心構えや、 スキルの習得ではない。

「とにかく無理をするな、 ということです」

2004年、 41歳のときだった。 研究と臨床に追われ、 夜中まで働き詰めだったある日、 外来中に突然倒れ入院。 その後、 自宅でも倒れ救急搬送された。 検査の結果、 原因は過労とストレスだった。

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国際学会出張中でもジム通いは欠かさない

「サッカー部で鍛えてきたし、 体力には自信がありました。 まさか自分が過労で倒れるなんて、 夢にも思っていませんでした」

以降は健康管理を徹底し、 必ず夜11時には帰宅。 20年以上スポーツジムに通い続け、 今も週2回は欠かさない。

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米国泌尿器科学会にも参加した (2016年、米サンディエゴ)

現在は、 日本アンドロロジー学会理事長をはじめ、 日本生殖医学会・日本性機能学会の副理事長などを務める第一人者として、 ガイドライン策定や講演で多忙を極めている。

「私は、 自分の出番が早く来るように人の少ない分野で挑戦してきました。 これからは若い医師にバトンを渡したい。 ぜひ次の世代に、 この領域を広げていってほしいです」

第一人者として積み重ねてきた歩みを大きな流れとし、 未来の医療を形づくっていくつもりだ。

プロフィール

 「活躍の場を追求し、 アンドロロジーを極める」 順大浦安病院・ 辻村医師 (後編)
大阪府出身、 兵庫医科大卒。 国立病院機構大阪医療センターなどの勤務を経て、 1998年にニューヨーク大学に留学し、 細胞生物学臨床研究員を務める。
帰国後は大阪大泌尿器科准教授などを経て、 2017年から現職。 生殖医学、 性機能障害の治療に注力し、 不妊に悩む数多くの夫婦を助けてきた。
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、 日本生殖医学会生殖医療専門医など多数。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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