【亀田総合病院内科グランドセミナー2023】長引く咳の見方(永井達也先生)
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亀田総合病院

3年前

【亀田総合病院内科グランドセミナー2023】長引く咳の見方(永井達也先生)

【亀田総合病院内科グランドセミナー2023】長引く咳の見方(永井達也先生)
本コンテンツは本年2月23日に開催された「亀田総合病院内科グランドセミナー2023」にて行われた講演を基に作成したものとなります。 多くの先生の臨床の参考となれば幸いです。 

講演情報

講師:永井達也先生

亀田総合病院 呼吸器内科

はじめに:咳嗽治療の3つのポイント

実臨床で「咳がとまらない」という訴えをもつ患者は多い。 3つのポイントを解説する。
  1. 高リスク疾患、因子を除外する
  2. 罹病期間で分け、 感染性を考える
  3. 喀痰を確認し、 頻度の高い疾患を鑑別する

1. 高リスク疾患、因子を除外する

画像検査、 病歴聴取などにより、 緊急性の高い疾患・危険因子を除外する必要がある。 

胸部画像検査

胸部画像検査で診断可能な緊急性の高い疾患例

  • 腫瘍、 結核
  • 間質性肺炎
  • 異物

病歴

病歴聴取によって確認できる危険因子

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 喫煙
  • 薬剤(ACE阻害薬)
  • 職業、 環境因子(粉塵曝露など)

2. 罹病期間で分け、感染性を考える

咳嗽は3週をひとつの区切りとして考える。 3週を過ぎると感染症以外の可能性が増えるため疾患の鑑別が必要となる。

症状持続期間と感染症による咳嗽比率

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日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019を基に作図  永井達也氏提供
  • 1~3週:急性咳嗽
  • 3~8週:遷延性咳嗽
  • 8週~:慢性咳嗽

狭義の感染性咳嗽と広義の感染性咳嗽

活動性咳嗽と感染後咳嗽を「狭義の感染性咳嗽」と呼び、 慢性咳嗽を含めたものを「広義の感染性咳嗽」と呼ぶ。 

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永井達也氏提供

狭義の感染性咳嗽

  • 急性咳嗽⇒活動性感染性咳嗽
  • 原因微生物が病巣局所に活動性に存在
  • 遷延性咳嗽⇒感染後咳嗽
  • 原因微生物は排除されつつある状態

広義の感染性咳嗽

  • 慢性咳嗽を含む

狭義の感染性咳嗽の鑑別

診断ではまず狭義の感染性咳嗽を疑う。

【亀田総合病院内科グランドセミナー2023】長引く咳の見方(永井達也先生)
日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019を基に作図
永井達也氏提供

鑑別で注意すべきポイント

  • 先行症状があるか
  • 発熱、 鼻汁、 鼻閉、 咽頭痛、 嗄声、 頭痛、 耳痛、 全身倦怠感など
  • ピークをすぎているか
  • 過ぎていない場合はマイコプラズマや百日咳の可能性を考慮

百日咳の特徴

感染性咳嗽で注意が必要なのは百日咳であり、 これには特徴的な4つの咳嗽症状がある。

  • 呼気性笛音
  • 発作性の連続性のせき込み
  • せき込み後の嘔吐
  • チアノーゼの有無を問わない無呼吸発作

3. 喀痰を確認し、高頻度疾患を鑑別

3週を過ぎると感染症以外の咳嗽が増加するので、 感染症以外の疾患の可能性を考慮する必要がある。 
【亀田総合病院内科グランドセミナー2023】長引く咳の見方(永井達也先生)
日本呼吸器学会咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019作成委員会:咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019を基に作図
永井達也氏提供

慢性咳嗽の原因として有名な4大疾患

  • 咳喘息
  • アトピー咳嗽/喉頭アレルギー、 後鼻漏
  • GERD
  • 感染後咳嗽
アジア人は特異的に副鼻腔気管支症候群(SBS)の頻度が高いので、 上記に加えてSBSも鑑別に加えて考える必要がある。 

【SBSとは】

  • 慢性・反復性の好中球性起動炎症を上気道と下気道に合併した病態
  • 症状:副鼻腔炎+慢性気管支炎(CB)、 気管支拡張症(BE)、 びまん性汎再気管支炎(DPB)
  • 治療:14,15員環系マクロライド(エリスロシン)などが有効

 喀痰の検査

症状が3週間以上継続する場合は、 感染性咳嗽以外の原因が考えられるため、 喀痰検査を行う必要がある。

<診断の基本的な流れ>

  1. 湿性咳嗽で継続的に痰がでる場合⇒副鼻腔炎・気管支拡張所見・好中球性起動炎症などを確認
  2. Yesの場合⇒SBSかどうかを鑑別
  3. SBSの治療で改善がない場合⇒4大疾患の可能性

慢性咳嗽の特徴と治療

咳喘息

特徴

  • 喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽が唯一の症状
  • 呼吸機能はほぼ正常
  • 気道過敏性軽度亢進
  • 気道拡張薬が有効で定義される喘息の亜型
  • 気管支拡張薬が有効

治療

  • 中用量ICS(+LABA)

アトピー咳嗽/喉頭アレルギー

特徴

  • 両者ともアトピー素因を要する乾性咳嗽。 咽喉頭の異常感を伴う。
<アトピー素因を示唆する所見>
①喘息以外のアレルギー疾患の存在
②末梢血好酸球増加
③血清総IgE値の上昇
④特異的IgE抗体陽性
⑤アレルゲン皮内テスト陽性
  • 喉頭アレルギー:咽頭を中心とした慢性Ⅰ型アレルギー。 通年性ないし季節性
  • アレルギー咳嗽:中枢気道を中心とした非喘息性好酸球性起動炎症、 咳感受性受容体の更新。 気管支拡張薬が無効。  

咳喘息とアトピー咳嗽の鑑別のポイント

咳喘息とアトピー咳嗽はともに好酸球による気道炎症なので鑑別が難しいが、 それぞれに予後が異なるので早期に分けて治療することが好ましいとされている。 鑑別のポイントは以下の通り。

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永井達也氏提供
  • 咳喘息:気管支平滑筋を収縮させることによる刺激で発生
  • ⇒気管支拡張薬が有効
  • アトピー咳嗽:気道表面の咳感受性受容体の亢進による
  • ⇒気管支拡張薬の効果がない
  • 治療H₁受容体拮抗薬

GERD

特徴

  • 胃酸や胃内容物が胃から食道に逆流することによって何らかの症状や合併症が惹起された状態
  • 逆流が下部食道の迷走神経受容体を刺激、 または逆流内容の直接刺激によって発生
  • 特に耳鼻咽喉科領域の症状を訴えるものをLaryngopharyngeal reflux disease(LPRD)と呼ぶ。

鑑別のポイント

  1. 胸やけ、 呑酸の症状
  2. 咳払い、 嗄声、 咽喉頭異常感
  3. 会話、 食事、 起床直後、 就寝などのタイミングで悪化
  4. 咳込みによる嘔吐
  5. 咳喘息やSBSによる治療が無効、 あるいは不十分で、 特に昼間に症状が残存する場合

治療

・PPIが第一選択だが、 単剤では効果不十分なことがあり、 消化管運動機能改善薬の併用を考慮すること。

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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