【独自調査&解説】HER2陽性胃癌の1次治療選択は?
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HOKUTO編集部

2ヶ月前

【独自調査&解説】HER2陽性胃癌の1次治療選択は?

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HER2陽性胃癌の1次治療について

2025年3月13~25日に、 消化器内科・消化器外科・腫瘍内科のHOKUTO医師会員を対象に 「HER2陽性胃癌の1次治療方針について」 のアンケートを実施しました。 その結果、 197人 (消化器内科 : 121人、 消化器外科 : 63人、 腫瘍内科 : 13人) から回答が得られました。 設問に対する回答は以下のような結果となりました。

Q. HER2陽性胃癌の1次治療として、 どちらを使用することが多いですか?

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全体で回答が多かったのは 「HER+SOX」 で、 83%を占めました。

診療科別の分析

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消化器内科では、 「HER+SOX」 の回答が88%となり、 大多数を占めました。 腫瘍内科では、 回答がおよそ1:1に割れる結果となりました。

年代別の分析

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20代と60代では、 「HER+SOX」 の回答が半数近くとなりましたが、 それ以外の年代では 「HER+SOX」 の回答が80%以上となりました。

専門医はこう考える

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実臨床での選択はSOXとCAPOXの2種に集約

ToGA試験¹⁾の結果から、 HER2陽性胃癌に対するカペシタビン (または5-FU) +シスプラチン (CDDP) とトラスツズマブの併用療法の優越性が証明された。

HER2陽性胃癌の1次治療における当初の標準的併用化学療法レジメンは、 カペシタビン (または5-FU) +CDDPであったが、 その後CAPOXあるいはSOXとの併用も同等との見解に基づき、 実臨床では合計3種類の併用レジメンが使われている状況である。

現在では、 消化器有害事象の点からCDDPよりもSOXを使うことが多く、 主としてSOXとCAPOXの2種類に集約してきている。 そこで今回の調査では、 専門性や主治医の年代によって、 どのようなレジメン選択の違いがあるかを調査することとした。

「上部消化管」 専門医はS1を好む傾向か

腫瘍内科医のサンプル数は少ないが、 SOX指向性は、 「消化器内科→消化器外科→腫瘍内科」 の順番であった。 「上部消化管」 を専門とする消化器系医師の場合には、 術後S1補助療法の長い歴史によって、 S1を好む傾向があるのかもしれない。

多施設後方視的検討が待たれる

一方、 年代別では、 20代と60代以降のサンプル数が少ないため、 それ以外の年代との比較は難しいが、 大きな違いは無いように思われる。 すでに膨大なHER2治療症例が蓄積されていることから、 多施設後方視的検討でレジメンによる違いがあるのか否かを解析すれば興味深い結果が出る可能性がある。

〔出典〕
1) Lancet. 2010 Aug 28;376(9742):687-697.

前回アンケート

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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