デキサメタゾンはもう不要? 新制吐レジメンがケモ誘発の悪心嘔吐で有効
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HOKUTO編集部

1年前

デキサメタゾンはもう不要? 新制吐レジメンがケモ誘発の悪心嘔吐で有効

デキサメタゾンはもう不要? 新制吐レジメンがケモ誘発の悪心嘔吐で有効
催吐性の高い化学療法の化学療法誘発性悪心・嘔吐 (CINV) 予防において、 NCCNが推奨するデキサメタゾン (DEX) を含む制吐レジメンに対するDEXを含まないレジメンの非劣性を検証した医師主導二重盲検第III相ランダム化比較試験の結果から、 DEXを含まないレジメンは悪心および嘔吐のコントロールに優れており、 同レジメンの非劣性が認められた。インド・Adyarがん研究所のVenkatraman Radhakrishnan氏が発表した。 

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試験の概要

背景

現行のNCCNガイドラインでは、 催吐性の高い化学療法のCINV予防にはDEXの使用が推奨されているが、 DEXを含まない制吐レジメンの有効性と安全性は明らかになっていない。

対象

高催吐性の化学療法を第1サイクルで1日間投与予定の18~80歳で化学療法未治療の患者350例

  • 全身状態 (ECOG PS) が3未満
  • 登録前24時間以内に悪心・嘔吐なし

方法

対象を1:1で以下の2群に無作為に割り付けた

  • OPD群 (174例)
day1にオランザピン5mg+パロノセトロン0.25mg+DEX 12mg、day2~4にオランザピン5mg
  • OPF群 (172例)
day1にオランザピン5mg+パロノセトロン0.25mg+ホスアプレピタント150mg、day2~4にオランザピン5mg

評価項目

▼主要評価項目

全期間(化学療法開始~120時間)における嘔吐に対する完全奏効 (CR)*

*嘔吐なし・レスキュー薬の使用なしと定義

▼副次評価項目

急性 (<24時間) の嘔吐と遅発性 (≧24時間) の嘔吐に対するCR、 全期間・急性・遅発性の悪心に対するCR、 有害事象、 患者報告アウトカム(MDASIおよびEORTC QLQ-C30)

患者背景(OPD群、 OPF群)

平均年齢:49.6歳、 48.8歳

女性の割合:74%、 79%

化学療法:

  • アドリアマイシン/シクロホスファミド:63%、 68%
  • プラチナ製剤:37%、 30%

癌種:

  • 乳癌:63%、 68%
  • 頭頸部癌:26%、 25%
  • 肺癌:7%、 4%
  • その他:4%、 3%

結果 (OPD群、 OPF群)

デキサメタゾンはもう不要? 新制吐レジメンがケモ誘発の悪心嘔吐で有効
(ASCO Breakthrough 2023発表データを基に編集部作成)

嘔吐に対するCR

非劣性マージン15%を超えず、 OPD群の非劣性を証明した

  • 急性:85.6%、 OPF群 94.7%
  • 遅発性:50.5%、 OPF群 81.9%
  • 全期間:48.8%、 OPF群 79.6%
絶対差: -30.8%ポイント
(95%CI -40.3 ~ -21.2、 P<0.001)

悪心に対するCR

  • 急性:81.6%、 OPF群 77.9%
  • 遅発性:39.6%、 OPF群 53.4%
  • 全期間:39.1%、 OPF群 50.5%
絶対差: -11.4%ポイント
(95%CI -21.8 ~ -0.9、 P=0.031)

全期間における嘔吐+悪心

  • 29.8%、 OPF群 45.3%
絶対差: -15.5%ポイント
(95%CI -25.5 ~ -5.4、 P=0.002)

有害事象

両群間で同様であった

患者報告アウトカム

MDASIスコア

急性期は、OPF群で疲労感(P=0.009)、 眠気(P=0.002)が多かった。 遅発期は、 OPD群で不眠(P<0.001)が多かった。

▼EORTC QLQ-C30

Global Health Status QOLスコアは両群間で同様であった。 ただし、OPF群と比べてOPD群では6日目の悪心・嘔吐および不眠の症状が有意に悪化した(それぞれP=0.0001、 P=0.012)。

Radhakrishnan氏らの結論

DEXを含まないOPFレジメンは、 DEXをベースとしたOPDレジメンと比べて全期間の悪心および嘔吐のコントロールに優れており、 催吐性の高い化学療法のCINV予防における標準治療になり得る。


参考:HOKUTO臨床Q&A

高催吐性レジメンに対する支持療法、 どれを選択することが多いですか?

HOKUTOユーザーの医師129名に聞きました

(実施期間:2023年3月1日〜3月14日)
デキサメタゾンはもう不要? 新制吐レジメンがケモ誘発の悪心嘔吐で有効
アンケート結果:NK₁受容体拮抗薬+5-HT₃受容体拮抗薬+DEXの「3剤併用療法」が最多で、 次点はオランザピンを含む「4剤併用療法」となりました。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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