HOKUTO編集部
1年前
催吐性の高い化学療法の化学療法誘発性悪心・嘔吐 (CINV) 予防において、 NCCNが推奨するデキサメタゾン (DEX) を含む制吐レジメンに対するDEXを含まないレジメンの非劣性を検証した医師主導二重盲検第III相ランダム化比較試験の結果から、 DEXを含まないレジメンは悪心および嘔吐のコントロールに優れており、 同レジメンの非劣性が認められた。インド・Adyarがん研究所のVenkatraman Radhakrishnan氏が発表した。
現行のNCCNガイドラインでは、 催吐性の高い化学療法のCINV予防にはDEXの使用が推奨されているが、 DEXを含まない制吐レジメンの有効性と安全性は明らかになっていない。
高催吐性の化学療法を第1サイクルで1日間投与予定の18~80歳で化学療法未治療の患者350例
対象を1:1で以下の2群に無作為に割り付けた
▼主要評価項目
全期間(化学療法開始~120時間)における嘔吐に対する完全奏効 (CR)*
▼副次評価項目
急性 (<24時間) の嘔吐と遅発性 (≧24時間) の嘔吐に対するCR、 全期間・急性・遅発性の悪心に対するCR、 有害事象、 患者報告アウトカム(MDASIおよびEORTC QLQ-C30)
平均年齢:49.6歳、 48.8歳
女性の割合:74%、 79%
化学療法:
癌種:
非劣性マージン15%を超えず、 OPD群の非劣性を証明した
絶対差: -30.8%ポイント
(95%CI -40.3 ~ -21.2、 P<0.001)
絶対差: -11.4%ポイント
(95%CI -21.8 ~ -0.9、 P=0.031)
絶対差: -15.5%ポイント
(95%CI -25.5 ~ -5.4、 P=0.002)
両群間で同様であった
▼MDASIスコア
急性期は、OPF群で疲労感(P=0.009)、 眠気(P=0.002)が多かった。 遅発期は、 OPD群で不眠(P<0.001)が多かった。
▼EORTC QLQ-C30
Global Health Status QOLスコアは両群間で同様であった。 ただし、OPF群と比べてOPD群では6日目の悪心・嘔吐および不眠の症状が有意に悪化した(それぞれP=0.0001、 P=0.012)。
DEXを含まないOPFレジメンは、 DEXをベースとしたOPDレジメンと比べて全期間の悪心および嘔吐のコントロールに優れており、 催吐性の高い化学療法のCINV予防における標準治療になり得る。
HOKUTOユーザーの医師129名に聞きました
アンケート結果:NK₁受容体拮抗薬+5-HT₃受容体拮抗薬+DEXの「3剤併用療法」が最多で、 次点はオランザピンを含む「4剤併用療法」となりました。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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