海外ジャーナルクラブ
2年前
Staplesらは, 初発失神後にERを受診した患者を対象に, 自動車事故のリスクを検討する後ろ向き観察コホート研究を実施. その結果, 初発失神患者の自動車事故リスクは平均的なER患者と変わらないことが明らかとなった. 本研究は, JAMA Intern Med誌において発表された.
本研究結果を素直に解釈するのであれば, 一般集団に比べて失神患者であろうとなかろうとED受診患者は衝突事故発生率が高く, 注意しないといけないと思います. 失神患者に特化した制限は必要ないのかもしれません。
運転中の失神再発は自動車事故の原因となりうるが, 失神後の運転制限に関する実証的なデータはほとんどない。
初回失神でERを訪れた患者 (9,223名)と、 同月に失神以外の症状で同じERを訪れた対照患者 (34,366名) とで、 年齢・性別をマッチさせた。
行政の医療記録, 運転歴, 事故報告書と照合し, 失神を起こした患者の事故発生率をER対照群と比較、 ER受診後1年間の自動車事故への運転者としての関与を検証した。
ベースライン時の自動車事故粗発生率は, 失神群, ER対照群ともに一般集団より高かった。
ERを受診した翌年の初回衝突事故は失神群で846件, ER対照群で3,457件発生したが, その後の自動車事故リスクには有意差はなかった。
失神患者のその後の衝突リスクは, 指標となるER受診日から30日間 (aHR 1.07, 95%CI 0.84-1.36, P=0.56) , または失神後の有害事象リスクが高いサブグループ (65歳以上, 心原性失神, 🔢カナダ失神リスクスコア1以上) で有意に増加することはなかった。
この人口ベースの後ろ向きコホート研究の結果は, 初発失神でERを訪れた患者のその後の事故リスクは平均的な救急患者と変わらないことを示唆している. 従って失神後の運転制限をより厳しくする必要はないのかもしれない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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