海外ジャーナルクラブ
2年前
Reitzらは, Sepsis-3で定義された市中感染性敗血症患者を対象に, ソースコントロール (感染源の制御) までの時間と患者の転帰を多病院合同医療システムコホート研究で検討. その結果, 市中感染性敗血症の発症から6時間以内の感染源対策は, 90日死亡のリスクの調整オッズ低下と関連していたことが明らかとなった. 本研究はJAMA Surg誌において発表された.
この研究成果をどのように敗血症診療に落とし込むのか? これは医師それぞれで違っているくると思います. 本テーマは、 "倫理的"にRCTができないのです. 6時間以内のソースコントロールと、 6時間以後のソースコントロールを実臨床で比較試験はできません. なので、 このような観察研究結果を幅のある解釈で, 全ての敗血症患者に6時間以内のソースコントロールを必須とするのか, 消化管, 腹部, 軟部組織に限定して6時間以内のソースコントロールを目指すのか, さまざまだと思います. 科学的には後者の限定的な解釈が良いと思います. 当然ですが, 早い方が良いのですが, 実診療ではそうは行かないこともよくあると思います. また注意点として, 本研究の患者群はSOFAスコア平均3.8, 90日死亡15%と, 集中治療管理が必要な敗血症患者群ではやや軽症と言えると思います.
敗血症の患者転帰を改善するために, 迅速なソースコントロールが推奨されている. しかし, どの程度の速さでそれが必要かを示すデータはほとんどない.
市中感染性敗血症の発症から6時間以内の感染源対策は, 90日死亡のリスク調整オッズの低下と関連していた. 敗血症病巣の迅速な特定とソースコントロールの開始を優先することで, 敗血症患者における回避可能な死亡数を減らすことができる.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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