海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前

Trevertonらは、 ヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) 患者を対象に、 病原性HIT抗体のクローン性を評価した。 その結果、 対象患者全例において、 HITにおける病原性抗体がモノクローナルであることが明らかとなった。 本研究はNEJM誌において発表された。
今回のモノクローナル抗体の同定は、 HITにおいて診断マーカーとしての精度向上、 病的抗体を直接ブロックする新規治療 (抗体療法)、 抗凝固薬に依存しない安全な管理法につながる可能性があります。
HITは、 血小板第4因子 (PF4) とヘパリンの複合体を標的とする抗体によって引き起こされる免疫介在性の血小板疾患である。 HITの特徴は、 ポリクローナルな免疫応答とされてきたが、 他の稀な抗PF4疾患の研究ではクローン性の限られた抗体が同定されている。
そこで本研究では、 HIT患者を対象に、 病原性HIT抗体のクローン性を評価した。
臨床的、 血清学的に確認されたHIT患者9例から採取した血清検体から、 PF4-ヘパリンビーズを用いてPF4-ヘパリンに対する抗体をアフィニティ精製した。
抗体のクローン性は、 免疫固定電気泳動法と質量分析によって評価した。 PF4に結合する抗体は、 酵素免疫測定法で評価し、 血小板の機能の活性化は、 Pセレクチン発現アッセイを用いて評価した。 また、 HIT抗体のエピトープを、 2例の患者でPF4変異体ライブラリーを用いてマッピングした。
HIT患者9例全例の血清検体において、 酵素免疫測定法およびPセレクチン発現アッセイでPF4-ヘパリンに対する血小板活性化抗体が陽性であり、 そのうち6検体 (67%) において免疫固定電気泳動法でモノクローナル抗体が検出された。
一方で、 アフィニティ精製で得られたPF4-ヘパリン抗体の全てにおいて、 Pセレクチン発現アッセイで血小板が活性化され、 質量分析ではモノクローナル性が示された。
また、 アフィニティ精製後、 抗体が減少した血清検体は、 酵素免疫測定法で結合活性、 およびPセレクチン発現アッセイにおける機能活性を失っていたことから、 病原性抗体の除去が確認された。
血清検体由来の抗 PF4-ヘパリン抗体が標的とするPF4上のエピトープは、 アフィニティ精製で得られたモノクローナル抗体が標的とするエピトープと同一であった。
著者らは 「HIT患者9例全例において、 病原性抗体がモノクローナルであることが明らかになった。 この知見は、 HITの病態解明に寄与し、 診断の改善および標的治療の開発に示唆を与えるものであった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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