海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前
Stahlerらは、 RAS野生型転移性大腸癌 (mCRC) 患者を対象に、 抗EGFR抗体パニツムマブによる維持療法に対する耐性関連遺伝子異常に基づくnegative hyperselectionの有用性について、 第II相無作為化比較試験PanaMa (AIO KRK 0212) で検討した。 その結果、 negative hyperselectionを行うことで対象の無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS)、 客観的奏効率 (ORR) の数値的な延長が認められた。 本研究はClin Cancer Resにおいて発表された。
Abstractの記載で面白いのがPFS (p=0.11)、 OS (p=0.001)、 ORR (p=0.26) 延長との関連がそれぞれ認められたとして記載している点です。 単なる関連としての記載はこれまではあまり見られなかったですが、 今後変わっていくかもしれません。
【大腸癌】コンパニオン診断薬 / 遺伝子パネル検査一覧 (1月24日更新)
本研究の事前規定解析として、 フルオロウラシル+フォリン酸 (FU/FA) 維持療法にパニツムマブを追加した場合の有効性、 および予測バイオマーカーとしてのRAS野生型mCRCにおける追加変異の評価が設定されていた。
RAS野生型のmCRC患者
標的次世代シーケンサー (NGS) および免疫組織化学を用いて解析を行い、 変異を同定した。 RAS、 BRAF V600E、 PIK3CA、 AKT1、 ALK1、 ERBB2、 PTENの変異およびHER2/neuの過剰増幅がnegative markerとして評価された。
遺伝子異常を認めないhyperselected集団は、 何らかの遺伝子異常を認めたgene altered集団と比較して、 PFS、 OS、 ORRの数値的な延長との関連がそれぞれ認められた。
7.5ヵ月 vs 5.4ヵ月
HR 0.75 (95%CI 0.52-1.07、 p=0.11)
28.7ヵ月 vs 22.2ヵ月
HR 0.53 (95%CI 0.36-0.77、 p=0.001)
35.8% vs 25.0%
p=0.26
Hyperselection RAS野生型mCRCにおいて、 FU/FA+パニツムマブ併用療法はPFSおよびOSに有意な有効性を示したが、 Hyperselection RAS変異型mCRCsでは関連しなかった。
RASを超えた広範な遺伝子プロファイリングの探索は、 抗EGFR抗体を含む維持療法におけるレジメンの患者選択を改善する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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