HOKUTO編集部
7ヶ月前
Tumor proportion score(TPS)≧50%のPD-L1高発現の未治療進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者において、 抗EGFR抗体ネシツムマブ+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法の有効性および安全性を検証した第Ⅱ相単群試験K-TAIL-202の結果より、 同併用療法の高い奏効率 (ORR) が示された。 昭和大学腫瘍内科准教授の堀池篤氏が発表した。
ペムブロリズマブ単剤療法は、 KEYNOTE-024試験において、 TPS≧50%のPD-L1高発現の進行NSCLC患者のPFSとOSを有意に延長した¹⁾²⁾。 しかし、長期生存 (カンガルーテール現象) がもたらされる症例は一部に限られている。
さらなる治療法の改善を目指し、 癌免疫サイクルの複数のステップの併用療法として、 抗CTLA-4抗体イピリムマブ、 マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ、 抗TIGIT抗体tiragolumabと免疫チェックポイント阻害薬の併用が検証されたが、 いずれも有用性は示されなかった³⁾⁴⁾。
ネシツムマブはEGFRに対するモノクローナル抗体で、 EGFRシグナルはPD-L1の発現を安定化させ、 PD-1との結合を増強するとされており⁵⁾、 早期試験においてもペムブロリズマブとの併用で有効性が示されている⁶⁾。
PD-L1高発現 (TPS≧50%) の未治療進行NSCLC患者(ECOG PS 0~1) : 50例
ネシツムマブ800mg (1日目、 8日目) +ペムブロリズマブ200mg (1日目) を3週毎に、 最大2年もしくは35サイクル投与
主要評価項目
全奏効率 (ORR)
副次評価項目
無増悪生存期間(PFS)、 全生存期間(OS)
安全性評価項目
有害事象(AE)
12.2ヵ月
ORR : 76.0%
p<0.0001
病勢コントロール (DCR) 率 : 86.0%
腫瘍縮小は多くの患者で早期に出現し、 効果は長く継続した。
治療中止となった原因は、 PD13例、 有害事象 (AE) 13例、 患者希望3例、 担当医の判断1例であった。
PFS中央値
15.7ヵ月
OS中央値
未到達であった。
Grade3の間質性肺疾患が10%で認められたが、 ステロイド治療で全例が改善した。
堀池氏らは 「PD-L1 TPS≧50%の未治療進行NSCLC患者において、 ペムブロリズマブ+ネシツムマブ併用療法はORR 76%の結果を示し、 安全性については、 認められたAEのほとんどが既知のものであった」 と報告した。
¹⁾N Engl J Med. 2016 Nov 10;375(19):1823-1833.
²⁾J Clin Oncol. 2021 Jul 20;39(21):2339-2349.
³⁾J Clin Oncol. 2021 Jul 20;39(21):2327-2338.PMID: 33513313
⁴⁾J Thorac Oncol. 2023 Dec 29:S1556-0864(23)02432-2.PMID: 38159809
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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