海外ジャーナルクラブ
2年前
Steinmanらは, 再発性多発性硬化症 (MS) の患者を対象に, モノクローナル抗体ウブリツキシマブの効果を第Ⅲ相二重盲検ダミー試験で検討 (ULTIMATE I, Ⅱ試験) . その結果, ウブリツキシマブはテリフルノミドよりも96週間にわたり年換算再発率が低く, MRI上の脳病変も少なかったが, 障害悪化のリスクは有意に低くならなかった. 本研究は, NEJM誌で発表された.
なかなか治療効果を認める研究成果の報告に乏しい神経領域ですが, 本研究は再発性多発性硬化症に対してウブリツキシマブの投与で再発率低下が認められています.
モノクローナル抗体ウブリツキシマブは, 抗体依存性の細胞溶解を促進し, B細胞の枯渇をもたらす. ウブリツキシマブは, 再発性MSの治療薬として評価されている.
ULTIMATE I試験には549名が, ULTIMATE II試験には545名が登録された (追跡期間の中央値:95週間)
ガドリニウム増強病変の平均数はULTIMATE I試験, ULTIMATE Ⅱ試験のいずれも有意に多かった.
2つの試験のプール解析では, ウブリツキシマブ群 5.2%, テリフルノミド群 5.9% で 12 週時点での障害悪化が認められた. HR 0.84, 95%CI 0.50-1.41, P=0.51
ウブリツキシマブ群はテリフルノミド群よりも96週間にわたり年換算再発率が低く, MRI上の脳病変も少なかったが, 障害悪化のリスクは有意に低くならなかった. また, ウブリツキシマブ群では, インフュージョンリアクションが確認された.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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