海外ジャーナルクラブ
1年前

Shapiroらは、 外来で肺炎の診断を受けた小児患者を対象に、 抗菌薬治療の有効性を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 抗菌薬を投与しなかった場合は治療失敗リスクがわずかに増加したが、 重症転帰はまれであることが明らかになった。 本研究はJAMA Netw Open誌にて発表された。
肺炎の原因微生物の疫学が不明であるために、 抗菌薬が本当に不必要なのかどうかがはっきりしません。 Abstractの"conclusion"は、 少し偏った解釈と言わざるを得ません。
小児の肺炎は、 多くがウイルス性であるにもかかわらず、 治療には抗菌薬が広く用いられている。 しかし、 外来診療で用いる抗菌薬の有効性については明らかになっていない。
本研究は、 外来での治療方針決定支援を目的として、 小児肺炎患者に抗菌薬を投与した場合と投与しなかった場合の転帰を比較した。
2017年1月1日~2019年12月31日に外来を受診し、 肺炎の診断を受けた17歳以下の患者10万3,854例を特定した (年齢中央値5歳、 男児52.6%、 抗菌薬非投与19.7%)。 このうち4万054例を対象とし、 2万227例ずつ以下の2群に分けて傾向スコアの解析を行った。
抗菌薬非投与群:抗菌薬を処方されなかった、もしくは処方されたが調剤を受けなかった患者
抗菌薬投与群:受診日の翌日までに、 薬局で抗菌薬の調剤を受けた患者
主要評価項目は受診日の翌日~14日後の治療失敗*¹、 副次評価項目は重症転帰*²とした。
傾向スコアマッチング解析による治療失敗率は抗菌薬投与群に比べ非投与群で微増していた。 また、 重症転帰の割合も非投与群の方がわずかに高かったが、 いずれも発生頻度は稀であった。
治療失敗率
- 抗菌薬非投与群 : 10.7% (2,167例)
- 抗菌薬投与群 : 8.7% (1,766例)
リスク差1.98%㌽ (95%CI 1.41-2.56%㌽)。
重症転帰の割合
- 抗菌薬非投与群 : 1.1% (234例)
- 抗菌薬投与群 : 0.7% (133例)
リスク差0.46%㌽ (95%CI 0.28-0.64%㌽)
著者らは 「外来で肺炎の診断を受けた小児の約20%は、 抗菌薬を使用していなかった。 抗菌薬を投与しないことで治療失敗リスクがわずかに増加したが、 重症転帰はまれであった。 本試験は、 特定の小児肺炎は抗菌薬を用いずに管理することが可能であることを示唆し、 そのような小児を特定するための前向き研究の必要性を裏付けるものである。」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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