【PROfound試験】前立腺癌に対するオラパリブ
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HOKUTO編集部

1年前

【PROfound試験】前立腺癌に対するオラパリブ

【PROfound試験】前立腺癌に対するオラパリブ
相同組換え修復関連遺伝子変異陽性、 かつ前治療として新規ホルモン薬による治療を行い、 病勢進行が認められた前立腺癌患者において、 PARP阻害薬オラパリブの有効性および安全性を、 エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステルを対照に検証した第Ⅲ相比較試験PROfoundの結果より、 画像上の無増悪生存期間 (rPFS) に対する有益性が示された。 

原著論文

▼中間解析結果

Olaparib for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. N Engl J Med. 2020 May 28;382(22):2091-2102. PMID: 32343890

▼追跡結果

Survival with Olaparib in Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. N Engl J Med. 2020 Dec 10;383(24):2345-2357. PMID: 32955174

関連レジメン

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PROfound試験の概要

対象

転移性去勢抵抗性前立腺癌患者のうち、 相同組換え修復関連遺伝子変異陽性であり、 かつ前治療として新規ホルモン薬による治療 (エンザルタミド、 アビラテロン酢酸エステル) を行い、 病勢進行が認められた患者

方法

608例を以下の2群に2:1で割り付けた。

  • オラパリブ群 (256例)
オラパリブ300㎎を1日2回投与
  • 対照 (エンザルタミドまたはアビラテロンを投与する) 群 (131例)
エンザルタミド160㎎を1日1回投与、またはアビラテロン1000㎎を1日1回+プレドニゾン5㎎を1日2回投与

評価項目

主要評価項目

  • BRCA1、 BRCA2、 またはATMに少なくとも1つの遺伝子変異を有する患者 (コホートA) におけるrPFS

副次評価項目

  • 全集団におけるrPFS
  • 奏効率 (ORR) 
  • 痛みの増悪までの期間 (TTPP) 
  • 全生存期間 (OS) 
  • PSA50 奏効率 (PSA濃度の50%以上低下した患者の割合) 
  • 循環腫瘍細胞消失率 (ベースライン時の全血7.5mlあたり5細胞以上循環腫瘍細胞数が減少した患者の割合) 
  • 安全性

PROfound試験の結果

患者背景

両群で概ね同様であったが、 対照群では内臓転移を有する患者の割合と、 ベースラインのPSA濃度中央値が高く、 オラパリブ群ではATM変異を有する患者の割合が高かった。 

rPFS中央値

コホートA

  • オラパリブ群:7.4ヵ月
  • 対照群:3.6ヵ月
HR 0.34  (95%CI 0.25-0.47)、 p<0.001

全患者

  • オラパリブ群:5.8ヵ月
  • 対照群:3.5ヵ月
HR 0.49  (95%CI 0.38-0.63)、 p<0.001

ORR

コホートA

  • オラパリブ群:33%
  • 対照群:2%
オッズ比 20.86  (95%CI 4.18-379.18)、 p<0.001

全患者

  • オラパリブ群:22%
  • 対照群:4%
オッズ比 5.93 (95%CI 2.01-25.40)

TTPP率 (6ヵ月時) 

コホートA

  • オラパリブ群:84%
  • 対照群:67%
HR 0.44  (95%CI 0.22-0.91)、 p=0.02

全患者

  • オラパリブ群:85%
  • 対照群:75%
HR 0.64

OS中央値

コホートA

  • オラパリブ群:19.1ヵ月
(95%CI 17.4-23.4ヵ月)
  • 対照群:14.7ヵ月
(95%CI 11.9-18.8ヵ月)
HR 0.69  (95%CI 0.50-0.97)、 p=0.02

全患者

  • オラパリブ群 :17.3ヵ月
(95%CI 15.5-18.6ヵ月)
  • 対照群:14.0ヵ月
(95%CI 11.5-17.1ヵ月)
HR 0.79  (95%CI 0.61-1.03)

遺伝子解析による探索的解析

BRCA1のみに変異を有する患者:HR 0.42 (95%CI 0.12-1.53) 

BRCA2のみに変異を有する患者:HR 0.59 (95%CI 0.37-0.95) 

BRCA以外の遺伝子に変異を有する患者:HR 0.95 (95%CI 0.68-1.34) 

PSA50奏効率

コホートA

  • オラパリブ群:43%
  • 対照群:8%

全患者

  • オラパリブ群:30%
  • 対照群:10%

循環腫瘍細胞消失率

コホートA

  • オラパリブ群:30%
  • 対照群:11%

全患者

  • オラパリブ群:27%
  • 対照群:10%

有害事象 (AE)

治療関連AE (グレード3以上) の発現率

  • オラパリブ群:52%
  • 対照群:40%

著者らの結論

  • 相同組換え修復関連遺伝子変異陽性、 かつ前治療として新規ホルモン薬による治療を行い、 病勢進行が認められた前立腺癌患者において、 オラパリブ投与は新規ホルモン薬投与と比較し、 rPFSを延長させ、 ORRが高いことが示された。
  • BRCA1、 BRCA2、 またはATMに遺伝子変異を有する患者においては、 オラパリブ投与は新規ホルモン薬投与と比較しOSが有意に長いことが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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