【CCTG BR.31】完全切除NSCLCへの術後デュルバルマブはDFSを改善せず
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HOKUTO編集部

21日前

【CCTG BR.31】完全切除NSCLCへの術後デュルバルマブはDFSを改善せず

【CCTG BR.31】完全切除NSCLCへの術後デュルバルマブはDFSを改善せず
完全切除された早期NSCLCに対する術後療法としての抗PD-L1抗体デュルバルマブ投与の有効性および安全性について、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相国際二重盲検無作為化比較試験CCTG BR.31の結果より、 DFSの改善は認められなかった。 カナダ・University of OttawaのGlenwood Goss氏が発表した。

背景

切除不能NSCLCへのデュルバルマブは既に標準治療として確立

Stage ⅠB~ⅢAの完全切除された非小細胞肺癌 (NSCLC) の5年生存率は術後療法によって5%改善する¹⁾が、 約60%が再発する。 また、 切除不能なIII期NSCLCに対する化学放射線治療後のデュルバルマブの有効性は証明され、 既に標準治療とされている²⁾。

他方で、 現在までに実施された術後免疫療法の臨床試験では、 完全切除後NSCLCにおいてDFSの改善が認められているが、 全生存期間 (OS) の改善は限定的である。 そこでCCTG BR.31試験では、 IB-IIA期の完全切除後NSCLCを対象に、 術後デュルバルマブの有効性と安全性を評価した。

試験の概要

対象は完全切除後のNSCLC

AJCC第7版に基づくStage IB期 (4cm以上) ~IIIA期でECOG PS 0~1の完全切除後NSCLC患者1,415例が、 以下の2群に2 : 1で無作為に割り付けられた。 対象には、 EGFR変異例およびALK転座陽性例も含まれた。

  • デュルバルマブ群 : 944例
(うちEGFR変異およびALK転座陰性 : 815例)
  • 術後にデュルバルマブ20mg/kgを4週毎に12ヵ月投与
  • プラセボ群 : 471例
(うちEGFR変異およびALK転座陰性 : 404例)
  • 術後にプラセボを4週毎に12ヵ月投与

主要評価はDFS

主要評価項目はPD-L1発現≧25%かつEGFR変異およびALK転座陰性例における無病生存期間 (DFS) だった。

副次的評価項目には、 ①PD-L1発現≧1%かつEGFR変異およびALK転座陰性例 ②PD-L1発現を問わないEGFR変異およびALK転座陰性例 ③PD-L1発現≧25%の全患者 ④PD-L1発現≧1%の全患者 ⑤全患者――におけるDFS、 OS、 有害事象 (AE)、 QOLが設定された。

試験の結果

今回は、 EGFR変異およびALK転座の陰性例におけるDFS最終解析の結果が報告された。

患者背景はPD-L1発現に関わらず両群で概ね同様

EGFR変異およびALK転座陰性の全患者において、 デュルバルマブ群 / プラセボ群の年齢中央値は両群ともに64歳、 男性は64.8%/66.8%、 アジア人は25.2%/26.5%だった。

病理組織学別では、 扁平上皮癌が28.5%/35.1%、 腺癌は66.3%/60.6%だった。 病期別では、 StageⅠBは8.6%/8.9%、 Ⅱは54.4%/51.7%、 ⅢAは37.1%/39.4%だった。

腫瘍のPD-L1発現別では、 1%未満が42.5%/40.6%、 1~25%未満は18.8%/19.6%、 25-49%は13.3%/14.1%、 50%以上は25.5%/25.7%だった。

PD-L1の発現度にかかわらずDFSの改善を認めず

【PD-L1≧25%、 EGFR変異 / ALK転座陰性例】

追跡期間中央値60.0ヵ月において、 主要評価評価であるPD-L1≧25%かつEGFR変異およびALK転座陰性例のDFS中央値は、 デュルバルマブ群が69.9ヵ月 (95%CI 57.6ヵ月-NR)、 プラセボ群が60.2ヵ月 (同47.7ヵ月-NR) であり、 両群間に差は認められなかった (HR 0.935、 95%CI 0.706-1.247、 p=0.642)。

18ヵ月時、 24ヵ月時、 36ヵ月時DFS率 (デュルバルマブ群 / プラセボ群) はそれぞれ、 75.1% vs 70.5%、 71.2% vs 68.5%、 63.9% vs 62.4%だった。

【PD-L1≧1%、 EGFR変異 / ALK転座陰性例】

副次評価項目であるPD-L1発現≧1%かつEGFR変異およびALK転座陰性例のDFS中央値は、 デュルバルマブ群が59.9ヵ月(95%CI 48.4-77.9ヵ月)、 プラセボ群が60.3ヵ月(同43.8-80.9ヵ月)だった (HR 0.989、 95%CI 0.788-1.248、 p=0.926)。

18ヵ月時、 24ヵ月時、 36ヵ月時DFS率はそれぞれ、 73.4% vs 70.1%、 68.6% vs 67.0%、 60.2% vs 60.1%だった。

EGFR変異およびALK転座陰性の全患者】

また、 EGFR変異およびALK転座陰性の全患者のDFS中央値はデュルバルマブ群が60.0ヵ月(95%CI 49.6-74.9ヵ月)、 プラセボ群が53.9ヵ月(同36.7-67.3ヵ月)だった (HR 0.893、 95%CI 0.752-1.065、 p=0.207)。

18ヵ月時、 24ヵ月時、 36ヵ月時DFS率はそれぞれ、 72.1% vs 66.0%、 67.4% vs 63.3%、 60.4% vs 56.4%だった。

【サブグループ解析の結果】

さらに、 EGFR変異およびALK転座陰性の全患者における事前に規定されたいずれのサブグループも、 両群間での有意差は認められなかった。

安全性は既知のプロファイルと概ね一致

安全性は過去のデュルバルマブに関する第Ⅲ相試験で認められたものと一致しており、 Grade3/4の治療関連AE (TRAE) は、 デュルバルマブ群の13.0%、 プラセボ群の4.5%に発現した。 重篤なTRAE発現率はそれぞれ10.1%、 3.6%だった。 また、 治療中止に至ったTRAEの発現率はそれぞれ12.5%、 2.8%だった。

結論

PD-L1発現状況とDFS間に相関関係は認められず

Glenwood Goss氏は 「完全切除後の早期NSCLCにおいて、 腫瘍のPD-L1発現状況にかかわらず、 術後デュルバルマブ投与はプラセボと比較して患者のDFSを改善しなかった。 また、 デュルバルマブ投与における安全性は既知のプロファイルと同様であった。 CCTG BR.31試験の結果から、 NSCLCにおいて最適な治療効果を得るためには、 周術期療法と同様に、 原発巣および関連抗原の存在が必要である可能性が示唆された」 と報告した。

出典

¹⁾ Lancet. 2010 Apr 10;375(9722):1267-77.

²⁾ N Engl J Med. 2018 Dec 13;379(24):2342-2350.

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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