【NEJM】 抗CD3抗体teplizumabが1型糖尿病のβ細胞機能を有意に維持
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【NEJM】 抗CD3抗体teplizumabが1型糖尿病のβ細胞機能を有意に維持

【NEJM】 抗CD3抗体teplizumabが1型糖尿病のβ細胞機能を有意に維持
Ramosらは、 新たに1型糖尿病と診断された患児を対象に、 抗CD3モノクローナル抗体teplizumabの効果について第Ⅲ層プラセボ対照二重盲検無作為化比較試験PROTECTを用いて検討した。 その結果、 teplizumab群はプラセボ群と比べ食事負荷試験後のCペプチド値が有意に高く、 β細胞機能 (インスリン産生能) の維持に有効である可能性が示唆された。  本研究は、 NEJM誌において発表された。

📘原著論文

Teplizumab and β-Cell Function in Newly Diagnosed Type 1 Diabetes. N Engl J Med. 2023 Oct 18. PMID : 37861217

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

2:1割り付けは数学的に有意差が出にくくなる傾向にあるので、 4つの副次評価項目で有意差がなかったのは仕方ない、 と言えます。

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CPI (Cペプチドインデックス)

インスリン分泌能の評価法

背景

T細胞上のCD3に対するヒト化モノクローナル抗体であるteplizumabは、 8歳以上のpreclinical (ステージ2) の1型糖尿病患者の発症遅延 (ステージ3への進行抑制) を適応として米食品医薬品局 (FDA) により承認されている。 しかし、 既に発症したステージ3の1型糖尿病患者に対する疾患の進行をteplizumabで抑制できるかどうかは不明である。

研究デザイン

対象

新たに診断された1型糖尿病 (ステージ3) の患者 (8~17歳)

介入

患者を以下の群に2 : 1の割合で無作為に割り付けた。

  • teplizumab群 : 217例
2コースのteplizumab治療 (1コースは12日間)
  • プラセボ群 : 111例

主要評価項目

ベースラインと比べた78週時点のCペプチド変化量

副次評価項目

78週時点のインスリン用量、 目標血糖値の範囲内を維持できている時間、 HbA1cの変化量、 臨床的に重大な低血糖イベントの発生率

研究結果

有効性評価

主要評価項目

teplizumab群はプラセボ群に比べ78週時点の食事負荷試験後のCペプチド値が有意に高かった。

臨床的に意味のあるピークCペプチド値 (0.2pmol/mL以上) を維持した患者の割合

  • teplizumab群 : 94.9% (95%CI 89.5-97.6)
  • プラセボ群 : 79.2% (95%CI 67.7-87.4)
最小二乗平均値の差 : 0.13pmol/mL、 95%CI 0.09-0.17、 p<0.001

副次評価項目

4つの副次評価項目においては、 いずれも両群で有意な差は見られなかった。

安全性評価

有害事象

両群において、 頭痛、 消化器症状、 皮疹、 リンパ球減少症、 サイトカイン放出症候群などが発生したが、 大半が軽症~中等症で管理可能であった。

結論

teplizumabを用いた治療により、新規に診断された1型糖尿病患児のβ細胞機能が維持される可能性が示された。 副次評価項目では有意差が確認されなかったが、 これは統計学的検出力が不足していたことが一因と考えられる。 また、 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大の影響により試験の実施方法が複雑となったこと、 試験参加者の大半が白人であったことなどが研究の限界である。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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