海外ジャーナルクラブ
7ヶ月前

Mallickらは、 英国における低リスクの分化型甲状腺癌患者を対象に、 甲状腺全摘後の放射性ヨウ素療法 (アブレーション) の有無による無再発生存 (RFS) 率を第Ⅲ相多施設共同非劣性無作為化比較試験IoNで検討した。 その結果、 アブレーション未実施のアブレーション実施に対する非劣性が検証され、 特にpT1、 pT2かつN0またはNxで悪性所見を有さない患者において、 アブレーションを回避できる可能性が示唆された。 本研究はLancet誌において発表された。
Lancet特有の臨床応用の示唆には、 低リスク甲状腺癌患者約40万人がアブレーションを回避できることにより副作用の回避、 入院・隔離の不要化、 医療費削減、 医療従事者の被曝低減、 環境負荷の軽減など多くの利点が得られると記載されています。
分化型甲状腺癌患者は、 甲状腺全摘後にアブレーションで治療されることが多々ある。
そこで、 低リスク分化型甲状腺癌患者におけるRFS率において、 アブレーション未実施のアブレーション実施に対する非劣性を検証する目的で第Ⅲ相試験IoNが実施された。
英国のがんセンター33施設で、 甲状腺全摘後に完全切除 (R0) が達成され、 病期がpT1、 pT2、 pT3 (TNM7基準) またはpT3a (TNM8基準)、 かつN0、 Nx、 またはN1aの分化型甲状腺癌患者504例が最小化法を用いた中央電子システムにより以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
251例 (per-protocol集団 249例)
253例 (per-protocol集団 231例)
主要評価項目は5年RFS率であり、 局所再発または持続性構造疾患、 遠隔転移、 または甲状腺癌による死亡が認められないことと定義された。 非劣性マージンは5%㌽であった。
主要評価項目についてはper-protocol解析およびintention-to-treat (ITT) 解析、 安全性はper-protocol解析が行われた。
追跡期間中央値は、 アブレーション未実施群で6.8年 (四分位範囲 [IQR] 5.6-8.6年)、 アブレーション実施群で6.6年 (IQR 4.8-8.5年) であった。
ITT集団において、 追跡期間中に17例の再発 (アブレーション非実施群 8例、 アブレーション実施群 9例) が認められた。
5年RFS率は、 ITT集団におけるアブレーション未実施群が97.9% (95%CI 96.1-99.7%)、 アブレーション実施群が96.3% (93.9-98.7%)、 per-protocol集団ではそれぞれ97.9% (95%CI 96.1-99.7%)、 96.9% (95%CI 94.7-99.1%) であった。
ITT集団における両群間のRFS率の5年絶対リスク差は0.5%㌽ (95%CI -2.2-3.2%㌽) であり、 アブレーション未実施のアブレーション実施に対する非劣性が検証された (非劣性のp=0.033)。
全体 (504例) の病期別の再発率はpT3/pT3aの腫瘍を有する患者で高く (pT3/pT3a腫瘍 9% [4/46例] vs pT1/pT2腫瘍 3% [13/458例])、 リンパ節転移の状態別ではN1aの患者で高かった (N1a 13% [6/47例] vs N0/Nx 2% [11/457例])。 一方、 アブレーションの有無による違いはみられなかった。
有害事象 (AE) の発現は両群で同程度であり、 多く認められた主なAEは疲労 (アブレーション未実施群 25%、 アブレーション実施群 28%)、 倦怠感 (いずれも14%)、 口腔乾燥 (それぞれ10%、 9%) であった。 治療関連死の報告はなかった。
著者らは 「本試験の結果は、 pT1、 pT2かつN0またはNxで悪性所見を有さない患者において、 アブレーションを回避できる可能性を示している。 世界中の多くの低リスク分化型甲状腺癌患者が、 術後のアブレーションおよびそれに伴う入院・副作用を安全に回避でき、 医療コストの削減にもつながる」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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