寄稿ライター
3日前
こんにちは、 Dr.Genjohです。 2025年7月20日に投開票された参院選の結果を受け、 我々医師が考えるべき点を解説します。
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自民党公認で東京選挙区から出馬した元厚生労働大臣、 武見敬三氏の落選は、 医療業界にとっても衝撃でした。
日本医師会が運営母体の政治団体・日本医師連盟(日医連)の正式な後援が得られなかったとはいえ、 重厚な実績を持っていたためです。 武見氏は今回の落選をもって政界を引退するようです。
なお東京選挙区では社会保険料の削減を声高に唱える候補者が、 武見氏よりも上位に食い込んでいました。 世間が社会保障費に対するヘイトをため込んでいる象徴的な事象であると筆者は感じました。
厚生年金から国民年金への不適切な流用や、 「103万の壁」 是正案の骨抜き、 選挙戦前の現金給付の公約など、 疑問を呈したくなるような政策が多々ありました。 政権与党に反発を覚える先生方は多かったであろうと推察します。
実際、 HOKUTOのコーナーで実施された参院選投票先アンケートでは、 政権与党へ投票する予定の先生は全体の15%に過ぎませんでした。 (参院選、どこに投票しますか?)
その政権与党が推している日医連の推薦候補にどれだけの発言力があるか、 その提案が本当に将来を見据えたものであるかについては正直なところ、 疑問が残るかもしれません。
しかし、 仮に日医連が推薦する候補者の落選が続けば、 それは財務省が強烈に推進しようとしている 「社会保障費の削減」 というストレートパンチにノーガードで突っ込むことを意味します。 社会保障費の削減のスピードが加速することは間違いないでしょう。
各医療機関が大赤字に苦しみ、 貯蓄も尽きようとしているところにそんな大嵐が吹けば日本の医療は大崩壊し、 結果として日本国民の公衆衛生は瞬く間に地に落ちるでしょう。
身もふたもない話になりますが、 医療機関のさらなる赤字の拡大は速やかに先生方の給与を直撃します。 変動金利の上昇による住宅ローンの負担増加や、 最近の物価高も加わり、 金銭的にも精神的にも余裕がなくなってくるケースもあるかもしれません。
ただ、 我々の業界でやみくもに我田引水を行うと社会保障費の上昇を招いてしまうところに、 解決しがたいジレンマがあります。
日本の人口動態を考えると、 最終的に社会保障費の削減に踏み切ることは避けられないでしょう。 ただし、 飛行機が急降下して墜落するようなハードランディングは、 医療者にとっても非医療者にとっても決して良い結果を生まないと思われます。着地のダメージを軽減しつつ、 緩やかなソフトランディングを目指すことが望ましいのではないでしょうか。
投票権を自身の信条に沿って有効に行使するとともに、 保険診療が極力破綻しないように日常診療においてコスト意識を持つことが、 ジレンマを乗り越えるために必要なのではないかと筆者は考えます。
Xアカウント : @DrGenjoh
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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