HOKUTO編集部
9ヶ月前
早期前立腺癌に対する監視療法 (AS) の長期成績について、 厚生労働省班研究の多施設共同前向き観察研究コホートによる調査の結果、 早期前立腺癌におけるASは本邦で安全な運用の可能性が示された。 香川大学附属病院泌尿器・副腎・腎移植外科の加藤琢磨氏が発表した。
同研究は、 2002年に開始した日本で最初の前立腺癌に対する監視療法 (AS) の多施設共同前向き観察研究コホートである。 今回はASを継続した早期前立腺癌患者の長期成績が報告された。
2002年1月~2003年12月に登録された早期前立腺癌のうち、 下記の適格基準を満たす患者
患者は1次治療としてASまたは他の治療のいずれかを選択した。
AS開始から6ヵ月間は2ヵ月毎、 それ以降は3ヵ月毎にPSAを測定し、 AS開始後12ヵ月で生検を施行した後、 3ヵ月毎のPSA測定、 1年毎の直腸診/経直腸的超音波検査、 2年毎の胸腹部CTまたは骨シンチグラフィーを行った。
PSA doubling time (PSA倍加時間) ≦2年、 再生検での病理学的悪化、 局所進展が認められた場合は積極的治療を勧告した。
10.69年
登録数 : 134例
- AS選択数 : 118例
- 登録1年時点でのAS継続数 : 102例
- PSA値≦10ng/mL(軽度上昇[群] ) : 95例
- PSA値10-20ng/mL(中等度上昇[群] ) : 23例
- 5 : 11%(13例)
- 6 : 89% (105例)
1年、 3年、 5年、 10年、 15年、 20年の順に82.9%、 42.7%、 28.2%、 9.4%、 4.3%、 4.3%であった。
AS中止に至った理由は下記の通りであった。
3年、 5年、 10年、 15年、 20年の順に95.6%、 94.7%、 82.1%、 72.6%、 65.8%であった。
参加者のうち1例が前立腺癌で死亡した。 同症例は1年目の再生検にて根治療法の勧告があったにも関わらず、 経過観察を選択した。 その後時間をおいて放射線治療を実施したものの、 転移をきたした患者であった。 プロトコールによる治療勧告に沿わなかったために癌の進行から死亡された可能性があると考えられる。
本研究において、 早期前立腺癌でASを選択した患者は安全に管理され、 癌が理由で死亡したのは、 再生検にて病理学的悪化から根治療法を勧告されたものの、 経過観察を選択した1例のみであった。 この結果から、 日本人においても監視療法が長期的にも安全に運用できる可能性が示唆された。 またAS中止の原因として、 排尿障害に注意が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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