HOKUTO編集部
8日前
切除可能なEGFR遺伝子変異陽性 (EGFRm) II-IIIB期NSCLCを対象に、 術前療法としての第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ (Osi) +化学療法、 またはオシメルチニブ単独療法の有効性および安全性について、 プラセボ+化学療法と比較評価した第III相国際共同無作為化比較試験NeoADAURAの結果から、 主要評価項目である病理学的奏効 (Major Pathological Response : MPR) 率においてオシメルチニブを含む両群で有意な改善が示された。 米・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのJamie E. Chaft氏が発表した。
第III相ADAURA試験の結果に基づき、 完全切除されたEGFR変異陽性IB-IIIA期NSCLCに対する術後療法としてのオシメルチニブは標準治療となっている¹⁾。
術前療法は、 手術成績や長期的な予後を改善する可能性がある。 切除可能NSCLCに対する術前療法や化学免疫療法は選択肢の1つであるが、 EGFR変異陽性NSCLCにおいては、 これらの治療レジメンによるMPR率は依然として低い。 そこでNeoADAURA試験では、 切除可能なEGFR変異陽性 II-IIIB期NSCLCを対象に、 術前療法としてのオシメルチニブ±化学療法の有効性と安全性を検証した。
18歳以上でEGFR変異 (exon 19 delまたはL858R変異) 陽性の切除可能なII-IIIB期非扁平上皮NSCLC患者358例が、 以下の3群に1:1:1で無作為に割り付けられた。
層別化因子は病期 (II期 vs III期)、 人種 (非アジア人 vs 中国人 vs その他アジア人)、 EGFR変異型 (exon 19 del vs L858R) だった。
主要評価項目は、 盲検下中央病理判定によるMPR (切除標本における残存腫瘍細胞≦10%と定義) だった。 副次評価項目には、 病理学的完全奏効 (pCR)、 無イベント生存期間 (EFS)、 安全性などが含まれた。
患者背景は3群間で概ね同様だった。
非アジア人の割合はOsi+CT群27%、 Osi単独群26%、 プラセボ+CT群25%で、 exon 19 delの割合はそれぞれ50%、 51%、 51%、 診断時にII期の割合は49%、 50%、 51%だった。
術前療法後に手術を受けた患者割合 (うちR0達成割合) は、 Osi+CT群92% (91%)、 Osi単独群97%(95%)、 プラセボ+CT群89%(93%)だった。
3群のMPR率は以下の通りで、 プラセボ+CT群と比較して、 オシメルチニブを含む両群で有意な改善が認められた。
Osi+CT群 vs プラセボ+CT群のOR 19.8、 95.002%CI 4.6-85.3、 p<0.0001
Osi単独群 vs プラセボ+CT群のOR 19.3、 99.9%CI 1.7-217.4、 p<0.0001
MPRベネフィットは、 事前に規定されたOsi+CT群、 Osi単独群いずれのサブグループにおいても一貫して認められた。
EFSの中間解析はimmatureな状態 (maturity : 15%) だったものの、 オシメルチニブを含む両群でプラセボ+CT群に対する良好な傾向が認められた。 12ヵ月EFS率は、 Osi+CT (観察期間中央値14.3ヵ月) 群が93% (95%CI 87-97%)、 Osi単独 (同18.3ヵ月) 群が95% (95%CI 89-98%)、 プラセボ+CT (同14.3ヵ月) 群が83% (95%CI 75-89%) だった。
プラセボ+CT群に対するEFSのハザード比 (HR) は、 Osi+CT群で0.50 (99.8%CI 0.17-1.41、 p=0.0382)、 Osi単独群で0.73 (95%CI 0.40-1.35) だった。
術前療法期間におけるGrade≧3の有害事象 (AE) の発現は、 Osi+CT群36%、 Osi単独群13%、 プラセボ+CT群33%に認められた。
いずれかの治験薬の投与中止に至ったAE発現率は、 Osi+CT群9% (オシメルチニブ/プラセボ中止2%、 化学療法中止8%)、 Osi単独群3% (オシメルチニブ中止3%)、 プラセボ+CT群5% (プラセボ中止2%、 化学療法中止5%) だった。 手術後30日以内の死亡例はなかった。
Chaft氏は 「術前療法としてのオシメルチニブ+化学療法、 およびオシメルチニブ単独療法は、 化学療法単独と比較してMPR率を有意に改善した。 EFSのデータはimmatureだったが、 オシメルチニブを含む治療群で良好な傾向が示された。 また、 安全性プロファイルは各薬剤での報告と一致していた。 これらの結果から、 切除可能なEGFR変異陽性II-IIIB期NSCLCの治療計画において、 術前療法としてのオシメルチニブ単独、 または化学療法との併用を考慮すべきである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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