海外ジャーナルクラブ
1年前
Thielらは、 心原性ショックに至った急性心筋梗塞患者を対象に、 早期の体外循環装置 (extracorporeal life support:ECLS) による治療効果を多施設共同ランダム化非盲検試験ECLS-SHOCKで検討。 その結果、 緊急の血行再建術を行う際に、 ECLSを導入しても30日後の死亡リスクは改善しないことが報告された。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
全体として差がないので早期のECLSは無効で終わりではなく、 ECLSが有用な患者群が臨床的に必ず存在すると思います。 本研究のサブグループ解析においてもその群は示されておらず、 その群を明らかにしていく課題が残されています。
体外循環装置 (extracorporeal life support:ECLS) は心筋梗塞に関連した心原性ショックの治療において一般的に使用されているが、 死亡率を改善させるというエビデンスは不足している。
心原性ショックに至った急性心筋梗塞患者
患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付け
30日後の全死因死亡
中等度~重度の出血、 脳卒中または全身性塞栓症、 手術またはカテーテル治療を必要とした虚血性末梢血管合併症
30日後全死因死亡に有意差なし
RR:0.98、 95%CI 0.80-1.19、 P=0.81
中等度または重度出血が有意に増加
RR:2.44、 95%CI 1.50-3.95
手術やカテーテル治療を必要とした虚血性末梢血管合併症も有意に増加
RR:2.86、 95%CI:1.31-6.25
心原性ショックに至った急性心筋梗塞患者において、 緊急の血行再建術に伴う早期ECLS導入は、 30日後死亡リスクを改善しなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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