海外ジャーナルクラブ
19日前
Gaoらは、 重症インフルエンザの入院患者を対象に、 抗ウイルス薬の効果を無作為化比較試験の系統的レビューとメタ解析で検討した。 その結果、 オセルタミビルおよびペラミビルについては入院期間短縮の効果がある可能性が示唆された一方で、 エビデンスの確実性は低いとされた。 本研究は、 Lancet誌にて発表された。
このsystematic reviewの結果から、 インフルエンザに対する抗インフルエンザ薬のRCTが不足しており、 研究成果をどの雑誌も取りたがっていること、 さらにこの研究はプライマリケアレベルでできる研究であることが言えると思います。
重症インフルエンザ治療において、 最適な抗ウイルス薬はいまだ明確ではない。 これを明らかにし、 WHOのインフルエンザ診療ガイドラインの更新を支援するため、 系統的レビューおよびネットワークメタ解析により、 重症インフルエンザ患者の治療に対する抗ウイルス薬の効果が評価された。
インフルエンザが疑われる、 もしくは検査で確認された入院患者に対して、 直接作用型インフルエンザウイルス薬をプラセボ、 標準治療、 または別の抗ウイルス薬と比較した無作為化比較試験を対象とした。 2023年9月20日までに発表された試験を、 データソース*から抽出した。
主な評価項目は、 症状改善までの期間や入院期間、 死亡率、 有害事象などであった。
8件のRCT (参加者1,424例、 平均年齢36~60歳、 男性43~78%) が系統的レビュー含まれ、 うち6件がネットワークメタ解析に含まれた。
インフルエンザによる入院期間はオセルタミビル (平均差 -1.63日、 95%CI -2.81~-0.45) およびペラミビル (平均差 -1.73日、 95%CI -3.33~-0.13) で短縮されたが、 エビデンスの確実性は 「低」 であった。
症状改善までの期間は、 標準治療と比較してオセルタミビル (平均差0.34日、 95%CI -0.86~1.54、)、 ペラミビル (平均差 -0.05日、 95%CI -0.69~0.59) で差がほとんどないか、 差を認められなかった。 ともにエビデンスの確実性は「低」であった。
有害事象は、 オセルタミビル、 ペラミビル、 ザナミビル間で有意な差は認められなかった (エビデンスの確実性 : 非常に低い)。
Gaoらは、 「重症インフルエンザの入院患者において、 オセルタミビルおよびペラミビルは標準治療またはプラセボと比較して入院期間を短縮する可能性があるが、 エビデンスの確実性は低い。 死亡率や他の重要な患者の転帰に対する効果は、 データが乏しいために不確実である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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