海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前

Dunnらは、 50歳以上の乳癌患者を対象に、 低頻度 (2年または3年に1回) のマンモグラィ検査が年1回の検査に対して非劣性であるかどうかを多施設共同第Ⅲ相無作為化比較試験Mammo-50で検討した。 その結果、 低頻度マンモグラフィ検査は、 乳癌特異的生存率、 無再発率、 全生存率において、 年1回検査に対して非劣性であることが明らかとなった。 試験結果はLancet誌に発表された。
文中に "change, amend guideline"という言葉が登場し、 この試験結果のインパクトを物語っています。
乳癌診断後のマンモグラフィ検査の実施頻度は国際的にばらつきがある。 この試験の目的は、 50歳以上の女性を対象に、 年1回未満のマンモグラフィ検査が乳癌特異的生存率について非劣性であるかを評価することであった。
英国で実施されたMammo-50試験は、 乳癌診断時に50歳以上で、 根治手術後3年間再発のない浸潤性または非浸潤性乳癌女性患者を対象とした。
根治術後3年目に、 年1回マンモグラフィ検査群と低頻度マンモグラフィ検査群 (乳房温存術後は2年ごと、 乳房切除術後は3年ごと) に1:1で無作為に割り付け、 6年間追跡した。
主要評価項目は、 乳癌特異的生存率 (intention-to-treat集団で評価) と費用対効果 (別の報告で解析) であり、 副次評価項目は無再発率、 全生存率、 病院への再紹介数であった。 乳癌特異的生存率の非劣性マージンは3%に設定した。
2014年4月22日~18年9月28日に5,235例を年1回群 (2,618例)、 低頻度群 (2,617例) に割り付けた。 3,858例 (73.6%) が60歳以上であり、 4,202例 (80.3%) が乳房温存術を受け、 4576例 (87.4%) が浸潤性乳癌、 1159例 (22.1%) がリンパ節転移陽性、 4,330例 (82.7%) がエストロゲン受容体陽性であった。
追跡期間中央値は5.7年 (IQR 5.0-6.0年、 根治術後8.7年) であり、 343例が死亡し、 そのうち乳癌による死亡は116例 (年1回群61例、 低頻度群55例) であった。
5年乳癌特異的生存率は以下の通りであり、 低頻度群の非劣性が示された。
補正HR 0.92 (95%CI 0.64-1.32)
非劣性のp<0.0001
5年無再発率は以下の通りであり、 低頻度群の非劣性が示された (非劣性マージン2%)。
補正HR 1.00 (95%CI 0.81-1.23)
非劣性p=0.0024
5年全生存率は以下の通りであり、2%マージンにおける低頻度群の非劣性が示された。
補正HR 1.07 (95%CI 0.87-1.33)
非劣性p=0.0078
症状による再紹介または救急入院による病院への再紹介率は以下の通りであった。
著者らは 「50歳以上で乳癌診断後3年が経過した患者で、 低頻度のマンモグラフィ検査実施は、 乳癌特異的生存率、 無再発率、 全生存率において、 年1回の検査に対して非劣性であることが示された。 この集団には、 低頻度の検査が選択肢として考慮されるべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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