【Lancet】乳癌術後のマンモグラフィ、 年1回未満でも予後に影響ない可能性
著者

海外ジャーナルクラブ

8ヶ月前

【Lancet】乳癌術後のマンモグラフィ、 年1回未満でも予後に影響ない可能性

【Lancet】乳癌術後のマンモグラフィ、 年1回未満でも予後に影響ない可能性
Dunnらは、 50歳以上の乳癌患者を対象に、 低頻度 (2年または3年に1回) のマンモグラィ検査が年1回の検査に対して非劣性であるかどうかを多施設共同第Ⅲ相無作為化比較試験Mammo-50で検討した。 その結果、 低頻度マンモグラフィ検査は、 乳癌特異的生存率、 無再発率、 全生存率において、 年1回検査に対して非劣性であることが明らかとなった。 試験結果はLancet誌に発表された。

📘原著論文

Annual versus less frequent mammographic surveillance in people with breast cancer aged 50 years and older in the UK (Mammo-50): a multicentre, randomised, phase 3, non-inferiority trial. Lancet. 2025 Feb 1;405(10476):396-407. PMID: 39892911.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

文中に "change, amend guideline"という言葉が登場し、 この試験結果のインパクトを物語っています。

🔢関連コンテンツ

マンモ検診間隔が進行乳癌リスクやOSと関連

J Clin Oncol. 2024 Nov 10;42(32):3837-3846.

乳癌検診推奨年齢を40~74歳に変更: 米UPSTF

JAMA. 2024 Jun 11;331(22):1918-1930.

目的

マンモグラフィは年1回未満でも有効?

乳癌診断後のマンモグラフィ検査の実施頻度は国際的にばらつきがある。 この試験の目的は、 50歳以上の女性を対象に、 年1回未満のマンモグラフィ検査が乳癌特異的生存率について非劣性であるかを評価することであった。

研究デザイン

主要評価項目は乳癌特異的生存率

英国で実施されたMammo-50試験は、 乳癌診断時に50歳以上で、 根治手術後3年間再発のない浸潤性または非浸潤性乳癌女性患者を対象とした。

根治術後3年目に、 年1回マンモグラフィ検査群と低頻度マンモグラフィ検査群 (乳房温存術後は2年ごと、 乳房切除術後は3年ごと) に1:1で無作為に割り付け、 6年間追跡した。

主要評価項目は、 乳癌特異的生存率 (intention-to-treat集団で評価) と費用対効果 (別の報告で解析) であり、 副次評価項目は無再発率、 全生存率、 病院への再紹介数であった。 乳癌特異的生存率の非劣性マージンは3%に設定した。

結果

低頻度検査が乳癌特異的生存率で非劣性

2014年4月22日~18年9月28日に5,235例を年1回群 (2,618例)、 低頻度群 (2,617例) に割り付けた。 3,858例 (73.6%) が60歳以上であり、 4,202例 (80.3%) が乳房温存術を受け、 4576例 (87.4%) が浸潤性乳癌、 1159例 (22.1%) がリンパ節転移陽性、 4,330例 (82.7%) がエストロゲン受容体陽性であった。

追跡期間中央値は5.7年 (IQR 5.0-6.0年、 根治術後8.7年) であり、 343例が死亡し、 そのうち乳癌による死亡は116例 (年1回群61例、 低頻度群55例) であった。

5年乳癌特異的生存率は以下の通りであり、 低頻度群の非劣性が示された。

  • 年1回群 : 98.1% (95%CI 97.5-98.6%)
  • 低頻度群 : 98.3% (95%CI 97.8-98.8%)
補正HR 0.92 (95%CI 0.64-1.32)
非劣性のp<0.0001

無再発率、 全生存率でも非劣性

5年無再発率は以下の通りであり、 低頻度群の非劣性が示された (非劣性マージン2%)。

  • 年1回群 : 94.1% (95%CI 93.1-94.9%)
  • 低頻度群 : 94.5% (95%CI 93.5-95.3%)
補正HR 1.00 (95%CI 0.81-1.23)
非劣性p=0.0024

5年全生存率は以下の通りであり、2%マージンにおける低頻度群の非劣性が示された。

  • 年1回群 : 94.7% (95%CI 93.8-95.5%)
  • 低頻度群 : 94.5% (95%CI 93.5-95.3%)
補正HR 1.07 (95%CI 0.87-1.33)
非劣性p=0.0078

症状による再紹介または救急入院による病院への再紹介率は以下の通りであった。

  • 年1回群 61.7% (108/175例)
  • 低頻度群 68.2% (116/170例)

結論

50歳以上、 乳癌診断後3年が経過していれば低頻度のマンモグラフィも選択肢

著者らは 「50歳以上で乳癌診断後3年が経過した患者で、 低頻度のマンモグラフィ検査実施は、 乳癌特異的生存率、 無再発率、 全生存率において、 年1回の検査に対して非劣性であることが示された。 この集団には、 低頻度の検査が選択肢として考慮されるべきである」 と報告している。

ポストのGif画像
【Lancet】乳癌術後のマンモグラフィ、 年1回未満でも予後に影響ない可能性の全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【Lancet】乳癌術後のマンモグラフィ、 年1回未満でも予後に影響ない可能性