寄稿ライター
30日前

こんにちは、 Dr.Genjohです。 新シリーズ 「検証 +3.09%の真実」 第2回は、 報酬改定から読み取れる 「これからの病院のあり方」 について考えていきます。 特に勤務医を続ける予定の先生方にとって、 自分の働く場所を改めて見直すきっかけにしていただければ幸いです。
>>第1回はコチラ
かつて入院医療には 「急性期病院」 と 「慢性期病院」 の2つしか区分がありませんでした。 高度な治療を担う急性期はコストが高く、 長期入院を引き受ける慢性期は時間コストが重くのしかかる——いずれも医療費高騰の要因でした。
その打開策として、 前回 (2024年度) の診療報酬改定で登場したのが 「地域包括医療病棟」 です。 肺炎・心不全といったcommonな入院疾患を急性期より低コストで治療し、 慢性期病院より早く退院させる——コストパフォーマンスに優れた第三の選択肢です。
よくある病気を、 低コストで治して、 早く帰す。 国が描く入院医療の理想像が、 ここにあります。

今回の改定では、 従来の急性期一般入院料1~6という区分に加え、 「急性期病院A」 「急性期病院B」 という新区分が設けられました【図1】¹⁾。

【図2】をみてください。
急性期病院Aの取得には 「救急搬送2,000件/年以上」 かつ 「全身麻酔手術1,200件/年以上」 の両方が必要です。
急性期病院Bは、 救急搬送1,500件/年以上、 もしくは搬送500件以上+全身麻酔手術500件以上といった条件のいずれかを満たせばよいとされています (人口20万人未満の二次医療圏や離島については別途要件あり)。
要するに 「救急をよく受け、 重い手術をよく行う」 施設こそが 「急性期病院」 だと、 国が改めて定義した形です。 新設されたA/Bには最も高い点数が設定され、 旧来の急性期一般1~6はそれより低い点数に抑えられています。

今回の改定では、 急性期一般1~5に要求される 「看護必要度」 が軒並み引き上げられました。 一方、 急性期病院よりもベッド単価の低い地域包括医療病棟の取得に必要な看護必要度は、 より低く設定されています。
国のメッセージは明快です。
「軽症患者を大量に入院させながら、 高いベッド単価の急性期病院を名乗ることは認めない。 そういう病院は地域包括医療病棟として、 低コスト・早期退院の役割にきちんとシフトせよ」
先生方が在籍されている施設は、 新設されたA/Bの条件を満たしているでしょうか?
今回の改定で、 急性期病院Bと急性期一般4に 「看護・多職種協働加算」 が追加されました。 従来、 高い入院基本料を維持するためには、 患者に対して一定割合の看護師を配置することが必須でした (例 : 7対1看護なら患者7人に対して看護師1人が必須)。

今回追加された看護・多職種協働加算では、 理学療法士や作業療法士、 言語聴覚士、 管理栄養士、 臨床検査技師を看護職員の配置枠の一部に充当してカウントできるようになりました。
表向きの理由は 「タスクシェア・タスクシフトによる業務効率化」 ですが、 実質的には看護師を追加で多く雇用しなくても高い点数を維持できる仕組みの登場です。
前回お話しした 「人件費の数による削減」 の一例として、 この動きを捉えることができるでしょう。
¹⁾厚生労働省 : 令和8年度診療報酬改定について 【医科全体版】

Xアカウント : @DrGenjoh

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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