HOKUTO編集部
5ヶ月前
新たに診断されたGrade1-2の非浸潤性乳管癌(DCIS)において、 手術±放射線療法に対する積極的モニタリングの非劣性を前向きに評価した第Ⅲ相無作為化比較試験COMETの結果より、 積極的モニタリングの手術±放射線療法に対する非劣性が示された。 米・Duke University School of MedicineのE. Shelley Hwang氏が発表した。 同試験結果の詳細はJAMA 2024年12月12日オンライン版に同時掲載された¹⁾。
米国では1年間で5万人以上の女性が新たにDCISと診断される可能性がある。 その多くは無症候性であり、 浸潤癌への移行リスクの程度は千差万別である。 DCISへの標準治療は手術±放射線療法であるが、 低リスク例には積極的モニタリングを行うことで、 過剰治療を回避できる可能性がある。
Grade1-2のHR陽性DCISと新規診断された40歳以上の女性DCIS患者957例 (全集団) が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
試験開始前の脱落例や他群の治療を受けた患者を除いたPer-Protocol集団は、 AM群が427例、 GCC群が246例であった。
主要評価項目は、 同側浸潤性乳癌の2年累積発生率であった。 GCC群に比べてAM群で2年累積発生率が高い場合、 その差が5%㌽未満であれば非劣性が証明されるデザインとなっていた。
副次的評価項目は、 2年乳房切除率、 2年乳房温存率、 対側浸潤癌の2年累積発生率、 2年全生存 (OS) 率、 2年疾患特異的生存 (DSS) 率、 健康関連QOL、 不安および抑うつなどだった。
ベースライン時の患者背景は両群間で概ね同様であった。 全集団において、 55歳未満、 55-65歳、 65歳超がそれぞれ23.6%、 34.3%、 42.1%だった。 人種は白人が75.0%、 診断時のGradeはGrade 2が73.7%と多く、 併存疾患あり / なしはそれぞれ56.4%、 33.8%だった。
同側浸潤性乳癌の2年累積発生率は、 全集団において、 AM群が4.2% (95%CI 2.31-6.00%)、 GCC群が5.9% (同 3.71-8.04%) だった。 その差は-1.7%㌽ (片側95%CIの上限 0.95%) であったことから、 AM群の非劣性が示された。
またPer-Protocol解析では、 AM群が3.1% (95%CI 2.31-6.00%)、 GCC群が8.7% (同 5.06-12.21%)、 その差は-5.6%㌽だった。
全集団において46例が浸潤性乳癌と診断され、 うち19例がAM群、 27例がGCC群だった。
腫瘍径平均値 (SD) はそれぞれ0.94±0.77cm、 0.78±1.08cm、 陽性センチネルリンパ節が0は42.1%、 29.6%、 Grade highは15.8%、 3.7%で、 いずれも両群間に有意差は認められなかった (順に、 p=0.33、 0.41、 0.34) 。
全集団において、 2年累積の治療実施状況は以下の通りだった。
内分泌療法
放射線療法
乳房温存術
乳房切除術
再切除
Hwang氏は 「低リスクのDCISにおける同側浸潤性乳癌の2年累積発生率において、 積極的モニタリングはガイドラインに準拠した手術などの標準治療に対して非劣性であった。 積極的モニタリングは短期的には有望であり、 長期的な実施の是非については追跡調査の結果が待たれる」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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