海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Peters氏らは、 小児集中治療室 (PICU) に緊急入室し侵襲的換気療法を受ける小児患者を対象に、 制限的目標酸素投与と非制限的目標酸素投与の効果について、 多施設共同非盲検並行群間無作為化比較試験Oxy-PICUを用いて検討した。 その結果、 目標SpO₂値を88~92%とする制限的目標酸素投与は、 非制限的目標酸素投与(目標SpO₂値 : >94%)に比べ、 30日時点の臓器支持期間または死亡について良好な結果を示す可能性がわずかながらも有意に高いことが示された。 本研究はLancet誌に掲載された。
至適酸素化目標の研究では現在までなかなか有意な差を示すことができませんでした。 テキスト全般でsmall, but significantな差と表現していますが、 単純に有意な差と記載するだけでもいいように思います。
重症小児患者に対する侵襲的換気療法において、 最適な目標酸素投与量は明らかになっていない。 非制限的目標酸素投与は広く実施されているが、 患者に害を与える可能性があるとされていた。
英国15のPICUで緊急入院し、 侵襲的換気療法を受けている妊娠38週超~16歳未満の小児
ウェブベースシステムを用いて、 患者を1対1の割合で以下の2群に無作為に割り付けた。
無作為化後30日時点の臓器支持期間
制限的目標酸素投与群は非制限的目標酸素投与群に比較して、 臓器支持または死亡期間がわずかながら有意に低かった。
確率指数(PRI) 0.53 (95%CI 0.50~0.55)、 p=0.04、 補正後OR 0.84(95%CI 0.72~0.99)
有害事象は制限的目標酸素投与群で939例中24例 (3%)、 非制限的目標酸素投与群で933例中36例 (4%) に認められた。
PICUに緊急入院した侵襲的人工呼吸を受けた小児において、 制限的目標酸素投与 (SpO₂ 88~92%) は非制限的目標酸素投与と比較して、 30日後の臓器支持期間または死亡の点でより良好な転帰をもたらす確率がわずかではあるが高い可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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