海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Fanらは、 微小血管浸潤があるR0肝切除後の再発中等症肝細胞癌患者を対象に、 ソラフェニブと肝動脈化学塞栓療法 (TACE) の併用療法 (SOR-TACE) の有効性を第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験で検討した。 その結果、 SOR-TACEはTACE単独と比較して優れた臨床転帰を示した。 本研究は、 JAMA Oncol誌にて発表された。
Abstractの結論には"combined treatment should be used"と書かれており、 本文の結論には"SOR-TACE therapy has the potential to be used effectively"と記載されています。
この微妙な表現の違いを是非とも感じ取っていただきたいですし、 また実際に論文を書く際にはこのように少し語気を変えて書くことがあります。
【EMERALD-1】TACE適応の肝細胞癌、 TACE+デュルバルマブ+ベバシズマブでPFS改善
TACEは、 再発中期の肝細胞癌で微小血管浸潤がある患者に一般的に用いられているが、 TACE単独での予後改善効果は十分ではない。
一方、 以前の後ろ向き研究により、 SOR-TACEがTACE単独よりも良好な治療選択肢となる可能性が示唆されていた。
微小血管浸潤があるR0肝切除後の再発・中等症肝細胞癌患者162例が、 以下の群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はintention-to-treat解析による全生存期間 (OS)。 安全性については、 少なくとも1回の試験治療を受けた患者で評価した。
OS、 PFSいずれもSOR-TACE群で有意に改善した。 客観的奏効率も有意に良好だった。
OS中央値
HR 0.55、 p<0.001
無増悪生存期間 (PFS)
HR 0.54、 p<0.001
客観的奏効率*
p=0.002
全Gradeの有害事象(AE)はSOR-TACE群で多く認められたが、 いずれのAEも治療によく反応し、 予期せぬAEや治療関連による死亡は認められなかった。
著者らは、 「本試験の結果、 SOR-TACEはTACE単独よりも優れた臨床転帰を達成することが示された。 これらの所見は、 MVI陽性のR0肝切除後の再発中等度肝細胞癌患者に対して、 併用治療を行うべきであることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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