海外ジャーナルクラブ
29日前
Bossiらは、 低腫瘍量のde novo転移を有する去勢感受性前立腺癌 (mCSPC) 患者を対象に、 標準治療+アビラテロンに放射線療法を追加した際の有効性と安全性を第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験PEACE-1で検討した。 その結果、 標準治療+アビラテロンに放射線療法を併用することにより画像上の無増悪生存期間 (rPFS) と無去勢抵抗性イベント生存期間は延長するが、 全生存期間 (OS) は改善しないことが示された。 本研究はLancet誌にて発表された。
Lancet特有のclinical implicationsでは、 "Radiotherapy should be recommended for patients with metastatic castration-sensitive prostate cancer"と強いメッセージが記載されています。
PEACE-1試験では、 ドセタキセルとアビラテロンにアンドロゲン除去療法 (ADT) を併用することで、 新規転移性去勢感受性の前立腺癌患者におけるOSとrPFSが改善することが示された。
そこで本研究では、この集団において放射線療法を追加した際の有効性と安全性を検討することを目的とした。
対象は骨シンチグラフィ、 CT、 MRIで確認されたde novo転移を有するmCSPC患者 (ECOG PS 0~1、 骨疼痛患者はPS 2まで、 年齢18歳以上) であり、 以下の群に1 : 1 : 1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はrPFSとOSであった。
アビラテロンの投与を受けた低腫瘍量の患者では、 標準治療に放射線療法を加えることで、rPFSが有意に延長した。
PFS中央値
補正後HR 0.65 (99.9%CI 0.36-1.19、 p=0.019)
一方、アビラテロンによる治療を受けなかった低腫瘍量の患者では、 標準治療に放射線療法を加えてもrPFSは延長しなかった。
PFS中央値
補正後HR 1.08 (99.9%CI 0.65-1.80、 p=0.61)
OSについては、 統計学的交互作用のため事前に定義された閾値に達しなかったことから、 放射線療法を受けた2つの介入群を統合して解析を行った。 その結果、 低腫瘍量の患者では、 放射線療法の併用はOSに影響を及ぼさないことが示された。
OS中央値
HR 0.98 (95.1%CI 0.74-1.28、 p=0.86)
放射線療法を受けなかった患者の56.1% (339/604例)、 放射線療法を受けた患者の58.8% (329/560例) において、 少なくとも1つのGrade 3以上の有害事象が発現した。
最も頻度の高い有害事象は高血圧 (標準治療±アビラテロン群 : 18.2%、 標準治療+放射線療法±アビラテロン群 : 22.7%) および好中球減少 (標準治療±アビラテロン群 : 6.6%、 標準治療+放射線療法±アビラテロン群 : 5.2%) であった。
著者らは 「標準治療+アビラテロンと放射線療法の併用は、 低腫瘍量のde novo mCSPC患者において、 rPFSと無去勢抵抗性イベント生存期間を改善するが、 OSは改善しない。 放射線療法は、 転移病変の負荷を問わず、 また全毒性を増加させることなく、 重篤な泌尿生殖器系イベントの発生を減少させ、 高腫瘍量および低腫瘍量のde novo転移を有するmCSPC患者における標準治療を構成する治療法となり得る」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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