【BMT CTN 1507】重症の鎌状赤血球症へのハプロ移植で良好な生存率を確認
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HOKUTO編集部

12ヶ月前

【BMT CTN 1507】重症の鎌状赤血球症へのハプロ移植で良好な生存率を確認

【BMT CTN 1507】重症の鎌状赤血球症へのハプロ移植で良好な生存率を確認
成人鎌状赤血球症 (SCD) 患者におけるHLA半合致移植 (以下、 ハプロ移植) の効果を検証した第Ⅱ相多施設単群コホート試験BMT CTN 1507の結果より、 HLA一致血縁ドナー (MSD) による骨髄移植と同等の2年時無イベント生存率 (EFS) をもたらすことが示された。 米・Vanderbilt University Medical CenterのAdetola A. Kassim氏が発表した。

背景

成人SCD患者の生存期間中央値は48.0年であり、 この数値は25年間変化していない。 小児SCD患者は、 HLA一致血縁ドナー (MSD) からの同種造血幹細胞移植で良好な転帰が得られているが、 MSDを有するのはSCD患者の15%未満である。 また、 移植後シクロホスファミド (PTCy) を併用したハプロ移植は、 小規模な研究でドナープールを拡大することが示され、 有望な結果が得られているが、 移植片対宿主病 (GVHD) に関する懸念は残る。 

本試験では、 成人の重症SCD患者におけるPTCyを併用したハプロ移植の有効性と安全性が評価された。

研究デザイン

対象

15~45歳のSCDで、 以下のいずれかを有する患者

  • 直近2年間で2回以上の急性冠症候群
  • 直近2年間で3回以上の血管閉塞性の危険性
  • 年8回以上の輸血を1年以上継続
  • 三尖弁逆流ジェット速度 (TRJV) ≧2.7m/秒

方法

54例に対し、 下記治療を実施

  • 前処置 (Day-70~Day-10) : ヒドロキシ尿素30mg/kg/日
  • コンディショニングレジメン : サイモグロブリン (rATG)、 チオテパ、 フルダラビン、 シクロホスファミド、 全身照射 (TBI)
  • GVHD予防 : PTCy、 シロリムス、 ミコフェノール酸モフェチル

評価項目

主要評価項目

ハプロ移植後2年間のEFS

副次評価項目

ハプロ移植後2年間のSCDの臨床症状および検査結果、 その他の移植転帰

研究結果

追跡期間中央値

743.5日

患者背景

  • 年齢中央値 : 22.8歳
  • 男性 : 59.3%
  • 黒人 : 92.6%
  • ヘモグロビンSS病 : 87%
  • ベースライン時のLansky/Karnofsky performance status (LPS/KPS) 90~100% : 74.1%
  • HLA適合度が4/8 : 75.9%
  • 移植実施割合 : 78%

EFS (2年時)

88%

(95%CI 73.5-94.8%)

OS

ヒドロキシ尿素投与後2年間

93.0%

(95%CI 79.8-97.7%)

移植後2年間

95.0%

(95%CI 81.5-98.7%)

累積発生率 (100日目の急性GVHD)

  • Grade II~IV : 26.2%
(95%CI 14.0-40.2%)
  • Grade III~IV : 4.8%
(95%CI 0.9-14.4%)

ハプロ移植後の死亡例

  • 1年目 : 2例 (1例 : 臓器不全、 1例 : ARDS)
  • 2年目 : 0例

78.6%がハプロ移植後に少なくとも1回の再入院を認めた。 主な原因は細菌感染 (41例) またはウイルス再活性化 (36例) であった。

Kassim氏らの結論

成人の重症SCD患者におけるハプロ移植は、2年後のドナー生着率が高く、死亡率は低かった。さらに移植後2年間のEFSおよびOSは、MSDによる移植と同等の結果が示された。

関連コンテンツ

🔢 HCT-CI

同種造血幹細胞移植後のリスク評価

🔢 造血幹細胞移植後の経過日数

🔢 慢性GVHDの重症度分類

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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