【JCOG0508試験】食道癌に対するER+CRT
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12ヶ月前

【JCOG0508試験】食道癌に対するER+CRT

【JCOG0508試験】食道癌に対するER+CRT
粘膜下層への浸潤が疑われる食道扁平上皮癌患者において、 内視鏡的切除術 (ER) と選択的化学放射線療法 (CRT) の併用療法の効果を検討した単群の前向き研究JCOG0508の結果より、 ERと選択的CRTの併用療法の有効性が示された。

原著論文

中間解析結果

Efficacy of Endoscopic Resection and Selective Chemoradiotherapy for Stage I Esophageal Squamous Cell Carcinoma. Gastroenterology. 2019 Aug;157(2):382-390.e3. PMID: 31014996

▼追跡結果

Final Analysis of Diagnostic Endoscopic Resection Followed by Selective Chemoradiotherapy for Stage I Esophageal Cancer: JCOG0508. Gastroenterology. 2023 Feb;164(2):296-299.e2. PMID: 36240951

関連レジメン

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JCOG0508試験の概要

対象

粘膜下層への浸潤 (SM1-2) が疑われる臨床病期I期 (T1N0M0) の食道扁平上皮癌患者

方法

176例に対し、 試験登録後30日以内にERを行い、 組織学的評価に基づき、 追加治療としてCRT*が29~70日以内に選択された。

  • A群 (74例) 
切除断端陰性でpT1a、 かつ脈管侵襲 (LVI) 陰性→経過観察
  • B群 (87例)
断端陰性でpT1b (72例) 、 または切除断端陰性でLVI陽性のpT1a (15例) →予防的CRT
  • C群 (15例) 
断端陽性、 または明らかな腫瘍残存、 または判定不能→根治的CRT
*化学療法:フルオロウラシル700mg/m² day1-4、 day29-32+シスプラチン70mg/m² day1,29
放射線治療:B群 41.4Gy/23fr/5週 (5days/週) 、 C群50.4Gy/28fr/6週 (5days/週)

評価項目

主要評価項目:B群における3年全生存率 (OS率) 

副次評価項目:全患者の3年OS率、 無増悪生存期間 (PFS) 、 有害事象 (ER、 CRT)

JCOG0508試験の結果

患者背景

  • 年齢中央値は63歳、 男性は147例、 LVI陽性は68例
  • 内視鏡的粘膜切除術 (EMR) は35例、 内視鏡的粘膜下層剥離術 (ESD) は141例に施行された。
  • 粘膜上皮層/粘膜固有層/粘膜筋板/SM1/SM2への病理学的浸潤は、 それぞれ3例、 31例、 56例、 17例、 69例に認められた。

治療状況

  • ERから追加CRT開始までの期間の中央値は54日で、 B群 (54日) とC群 (50日) の間に差はなかった。
  • CRTを受けた96例 (B群83例、 C群13例) のうち、 11例 (B群9例、 C群2例) が最初の再発部位として局所リンパ節転移を認めた。 登録から再発までの期間中央値は16.4ヵ月であった。

B群の3年OS率

90.7%

(95%CI 84.0-94.7%)

OS率

全患者

92.6% (3年時) 、 90.9% (5年時)

B群

89.7% (5年時)

PFS率

全患者

89.7% (3年時) 、 87.5% (5年時)

B群

86.2% (5年時)

有害事象 (AE)

ER

  • Grade3以上のAEは入院中も術後も報告されなかった。
  • 1例は内視鏡的バルーン拡張術を繰り返したにもかかわらず、 退院後にGrade3の食道狭窄を来した。
  • ER後にGrade1~2の狭窄を呈した患者のうち、 CRT中あるいはCRT後に狭窄が悪化した症例はなかった。

CRT

  • B+C群のうち、 プロトコール治療を受けなかった6例を除き、 全例が放射線治療と化学療法1コース目を完了した。 B群13例とC群2例は、 AEのため2コース目を受けなかった。 
  • Grade4の急性AEは報告されなかった。
  • 心臓および肺に関連するGrade2以上の晩期AEが8例に認められ、 Grade4の心虚血が1例に認められたが、 これらのAEで死亡した患者はいなかった。

著者らの結論

粘膜下層への浸潤が疑われる食道扁平上皮癌に対する、 ERと選択的CRTの併用療法の有効性が示された。 有効性は手術と同等であり、 低侵襲治療の選択肢として考慮されるべきである。

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