【Lancet】HPV型別の子宮頸癌の有病率:全世界/地域別データ
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海外ジャーナルクラブ

3ヶ月前

【Lancet】HPV型別の子宮頸癌の有病率:全世界/地域別データ

【Lancet】HPV型別の子宮頸癌の有病率:全世界/地域別データ
Weiらは、 HPV遺伝子型別に浸潤性子宮頸癌 (ICC) の人口寄与割合 (AF) を、 全世界や地域別に推計した。 その結果、 全世界でのAFは、 HPV16で61.7%、 HPV18で15.3%であったほか、 地域による特徴が明らかとなった。 本研究はLancetにて発表された。 

📘原著論文

Causal attribution of human papillomavirus genotypes to invasive cervical cancer worldwide: a systematic analysis of the global literature. Lancet. 2024 Aug 3;404(10451):435-444. PMID: 39097395

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

系統的レビューは通常英語のみとなりますが、 今回のレビューでは言語制限なしで行っています。 どれほどnon-Englishの文献が含まれていたかは不明です。

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兵庫県立がんセンター婦人科 山本香澄先生

目的

HPVの遺伝子型別ICCの割合を理解し、 特定の型を標的とした予防につなげる

HPVの各遺伝子型が引き起こすICCの割合を理解することは、 特定のHPV遺伝子型をターゲットとした一次予防 (ワクチン接種) や二次予防 (検診) に取り組む上で有用である。

本研究は、 HPVの各遺伝子に起因するICCの割合を、 世界、 地域、 国レベルで推定することを目的とした。

方法

系統的レビュー後、 AFを算出

系統的レビューによって、 ICCまたは子宮頸部細胞診が正常の人におけるHPV遺伝子型別の有病率を報告した研究を同定した*¹。

*¹2024年2月29日までPubMed、 Embase、 Scopus、 Web of Scienceを検索語 「cervix」 「HPV」 で言語制限なしで検索

HPV陽性ICCと正常子宮頸部細胞診とでHPV遺伝子型別有病率を比較し、 オッズ比 (OR) を推計した*²。 ORの95%CIの下限が1.0より大きいHPV遺伝子型を「ICCと因果関係がある」と判定した。

*²ロジスティック回帰モデル (地域、 論文発表年、 HPVプライマーまたは検査で調整)

対応する地域の遺伝子型別のAFは、 ICCにおける地域のHPV有病率に (1- [1/OR] ) を乗じて算出し、 合計100%に比例調整した。 全世界のAFは、 地域のAFを2022年における地域のICC症例数で重み付けして算出した。

結果

1,174の研究が系統的レビューで特定され、 HPV陽性のICCは11万1,902例、 子宮頸部細胞診正常の人は 275万5,734人であった。

ORが最も高いのはHPV16

ICCを引き起こすと考えられたHPV遺伝子型は17種類であった。 そのうちORが最も高かったのはHPV16で48.3 (95%CI 45.7-50.9)、 最も低かったのはHPV51で1.4 (1.2-1.7) であった。

全世界におけるAFは、 HPV16で61.7%、 HPV18で15.3%

全世界におけるAFは、 高いものから順に以下の通りであった。

❶HPV16 : 61.7%

❷HPV18 : 15.3%

❸HPV45 : 4.8%

❹HPV33 : 3.8%

❺HPV58 : 3.5%

❻HPV31 : 2.8%

❼HPV52 : 2.8%

残るHPV35、 59、 39、 56、 51、 68、 73、 26、 69、 82をすべて合わせた全世界のAFは5.3%であった。

主要な発癌性HPV型のAFはアフリカで低く、 中央、 西、 南アジアで高い

地域別にみると、 「HPV16と18」 「HPV16、 18、 31、 33、 45、 52、 58」 を合わせたAFは、 それぞれアフリカでは71.9%、 92.1%と最も低く、 中央、 西、 南アジアでは83.2%、 95.9%と最も高かった。

HPV35のAFはアフリカで3.6%と、 他の地域 (0.6-1.6%) よりも高かった。

解釈

得られたデータは、ワクチン接種・検診の戦略立案に有用

著者は 「本研究によって、 HPVワクチン接種の影響を受ける前の、 ICCにおけるHPV遺伝子型別AFの世界的実態が示された。 これらのデータは、 ICCによる負荷を軽減するための、 HPV遺伝子型別のワクチン接種や検診の戦略を立てる上で役立つ」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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