診療指針
1年前
Atriらアルツハイマー病 (AD) の専門グループは、 米国におけるADおよび関連認知症 (ADRD) の診断プロセスに関する新たな診療ガイドライン 「DETeCD-ADRD」 を作成した。 専門医のみならずプライマリ・ケア医を含めた全ての臨床医に適用可能な初の包括的ガイドラインとなっており、 ①患者の全体的な認知障害レベル、 ②患者が経験している特定の症状、 ③症状の原因となっている可能性のある脳疾患の3つの基準に沿って評価することを推奨している。
👨⚕️HOKUTO監修医コメント
アルツハイマー病の診断評価に関する新たな診療ガイドライン作成ということで、 次は治療に関するガイドラインの作成が期待されます。
アルツハイマー病協会による2025年の臨床実践ガイドライン (DETECD-ADRD) に基づき、 認知症および関連疾患が疑われる患者の評価における臨床上の重要事項を概説する。 本指針は、 病歴、 機能評価、 神経学的診察、 認知機能検査を統合した構造的アプローチを推奨している。
認知症状の病歴聴取には、 漫然とした問診ではなく検証済みの評価尺度を用いるべきである。 認知機能の変化にはIQCODE、 AD8、 QDRS、 AQなどが有用である。 加えて、 日常生活動作 (ADL) および手段的日常生活動作 (IADL) への影響を評価することが不可欠であり、 FAQ (機能的自立度評価表)、 CDR (臨床認知症評価法)、 FAST、 DADなどのツール活用が推奨される。
行動や気分の変化は認知症の初期兆候や増悪因子となりうる。 全般的なスクリーニングにはNPI-Q (神経精神インベントリ) やMBI-C (軽度行動障害チェックリスト) を用い、 特定の症状に対してはGDSやPHQ-9 (うつ状態)、 GAI (不安) などの尺度を用いて評価を行う。
脳神経機能、 体性感覚・運動機能、 姿勢・歩行異常の有無を確認するスクリーニング的な神経学的診察を行う必要がある。 これは転倒リスクの評価や、 パーキンソン病関連疾患、 血管性認知障害など他の病因との鑑別において重要である。
精神状態の評価には、 以下の検証済み検査を選択し、 それぞれの特性とカットオフ値を理解した上で適用する。
MoCA (Montreal Cognitive Assessment) : 26点未満を機能障害の目安とする (感度90%、 特異度87%)。 MCI (軽度認知障害) の検出に優れる。
MMSE: 26点未満を機能障害の目安とする (感度81%、 特異度82%)。
Mini-Cog: 3点未満を機能障害の目安とする。 迅速なスクリーニングに適する。
SLUMS: 教育歴による調整が必要である (教育歴12年超は27点未満、 12年以下は25点未満をカットオフとする)。
GPCOG: プライマリケア設定で有用であり、 患者スコア5点未満等が障害の指標となる。
遠隔評価を行う場合、 視覚・描画課題を除外した修正版MoCA (22点満点) の利用が可能である。 この場合、 18点以下が潜在的な機能障害の目安として提案されている。
診断の定式化は単一の検査スコアのみで行うべきではない。 病歴、 生活機能、 行動・心理症状、 神経学的所見、 および認知機能テストの結果を包括的に統合し、 個々の患者における認知・行動症候群を特定することが求められる。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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