多領域の腫瘍学に触れるESMO Asia 2024印象記
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HOKUTO編集部

12日前

多領域の腫瘍学に触れるESMO Asia 2024印象記

多領域の腫瘍学に触れるESMO Asia 2024印象記
2024年12月6~8日にシンガポールで欧州臨床腫瘍学会アジア大会 (ESMO Asia 2024) が開催されました。 本稿では国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科の山本駿先生に、 同会における消化器領域の主な発表演題と、 学会の雰囲気についてご紹介いただきました。
※記事内画像はすべて山本駿氏提供

はじめに

ESMO Asiaは、 ESMOが主導し、 毎年12月にシンガポールで開催される臨床腫瘍学の国際学会である。

毎年秋に開催されるESMO Congressに参加することは最新の知見に触れることができる点で重要ではあるものの、 アジアからヨーロッパへのアクセスは良好とは言い難く、 特に若手にとってはハードルが高い。 そのため、 著名な腫瘍内科医も参加するESMO Asiaは、 知識を吸収するのみでなく、 交流を深める点でもアクセスしやすい学会といえる。

今回も前回同様、 特定の演題に触れる形式でなく、 学会自体の雰囲気を中心に共有する。

ESMO Asiaの特徴

消化器のみならず、 多様な癌種の最新情報を入手

▼会場メインホール
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昨年の反省から、 現地に着いたらすぐに半袖で移動を開始した。 昨年同様、 気温は25~30℃であり、 少し外を歩くだけで滝のような汗が出てくる環境であった。

ESMO Asia 2024も2023年と同様、 シンガポール湾岸沿いのショッピングモールであるSuntec Cityの3階および4階で行われた。 ただしESMO Asia は米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム (ASCO GI) やESMO消化器癌シンポジウム (ESMO GI) のように、 特定の癌種に特化しているわけではなく、 全癌種の学会である。

そのため複数の講演会場で多様な癌種のセッションが行われており、 腫瘍学の進歩に関する情報を幅広く得られることは本学会に参加する利点であろう。

ポスター会場は2ブースで実施、 演者同士の闊達な議論も

またポスター発表会場も昨年と異なり、 ジグザグな掲示板ではある一方で他のポスターとの距離は確保されており、 コミュニケーションが図りやすい環境となっていた。 実際にポスター発表会場は全癌種の発表が2ブースに分けて行われ、 2日目の夕方に演者や研究者が集まって、 活発な議論が行われていた。

▼ポスター会場1 (左 : 国立がん研究センター中央病院 消化管内科科長 加藤健氏、 右 : 同科 小倉望氏)
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▼ポスター会場2 (NTT東日本関東病院腫瘍内科 高見澤重賢氏)
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▼ポスター会3 (左 : 国立がん研究センター中央病院 消化管内科 廣瀬俊晴氏、 右 : 腫瘍内科 大西舞氏)
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主な演題内容

消化管領域は重要研究のサブ解析が中心

消化管領域関連の演題内容としては、

  • HER2陽性進行胃癌の1次治療として抗HER2抗体トラスツズマブ+化学療法+抗PD-1抗体ペムブロリズマブを検証した第Ⅲ相試験KEYNOTE-811*
*HOKUTOコンテンツ KN-811 OS最終解析
  • 中国におけるHER2陽性進行胃癌の3次治療以降として抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンを検証した第Ⅱ相試験DESTINY-Gastric06*
*ClinicalTrials.gov (NCT04989816)
  • 局所進行胃癌の1次治療としてFOLFOX+抗TIGIT抗体domvanalimab+抗PD-1抗体zimberelimabなどの併用療法を検証した第Ⅱ相試験EDGE-Gastric*
*ClinicalTrials.gov (NCT05329766)
  • 進行胃癌の1次治療として抗PD-1抗体tislelizumab+化学療法を検証した第Ⅲ相試験RATIONALE-305*
*BMJ. 2024 May 28;385:e078876.

ーー等、 ASCOやESMOで発表された重要な消化器癌に関する報告のアンコールや、 サブグループ解析が中心であった。

ASCO/ESMOのアンコールセッションも

また、 ESMO 2024において全癌種でインパクトのあった演題のアンコールセッションである 「ハイライトセッション」 も設けられていた。 その中で特筆すべき点としては、 すべてのディスカッサントがアジアからの視点も踏まえて、 研究内容をレビューしていたことであった。

最後に

▼会場入口のロゴ(左より山本氏、加藤氏、小倉氏、大西氏、廣瀬氏)
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ESMO Asia 2023と比較して印象的であったことは、 日本の若手研究者が数多く参加していた点である。 ポスターで研究内容の発表を行ったり、 座長・ディスカッサントとして各セッションにコミットしたりと、 精力的に活動する姿が見受けられた。

前述の通り、 ESMO AsiaはESMO等と比較してアクセスが比較的容易な学会であることから、 是非学会に現地参加して、 自身の知見を深めてさらなる飛躍に役立てていただきたい。

解説医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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