海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Rendleらは、 低線量CT (LDCT) を用いる肺癌検診に伴う2次検査の処置および合併症の発生率を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 米国の大規模無作為化比較試験National Lung Screening Trial (NSLT) での観察と比較し、 実際の肺癌検診に関連する侵襲性の診断処置および、 それに伴う合併症の発生率が高いことが明らかとなった。 本研究は、 Ann Intern Med誌において発表された。
Ann Intern Medらしい教訓 (教科書) 的な研究成果です。 有益性の先にある、 有害性 (合併症を含む) についてしっかりと検討した意義深い研究です。
LDCTを用いた肺癌検診は肺癌死亡率を低下させるが、 侵襲的処置や合併症、 その他の潜在的有害性が懸念される。 これまでの評価では、 LDCTと胸部X線検査の有効性を比較したNLST以外でのこれら事象の推定値にばらつきがあった。
2014~18年に肺癌検診においてLDCT検査を完了した受診者 : 9,266例
2次画像検査、 侵襲性の診断処置、 処置合併症
検診受診者9,266例のうち、 15.9% (1,472例) が試験開始時のLDCTで異常所見を呈し、 9.5% (140例) が12ヵ月以内に肺癌と診断された。
感度 : 92.7% (同88.6-96.9%)
特異度 : 84.4% (同83.7-85.2%)
2次画像検査
絶対発生率 : 31.9%
侵襲性の診断処置
絶対発生率 : 2.8%
侵襲性の処置を受けた患者の合併症発生率
異常所見に伴い侵襲性の処置を受けた患者の割合は、 実際の肺癌検診の方がNLSTと比較して高かった。
肺癌検診に関連する侵襲的処置およびそれに伴う合併症の発生率がNLSTで観察されたよりも高いことを示している。 検診の有益性が潜在的有害性を上回るように、 診断管理を評価し、 改善する必要があると考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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