海外ジャーナルクラブ
8日前
日本臨床腫瘍研究グループ (JCOG) の大腸がんグループは、 未治療の切除不能大腸癌の高齢患者を対象に、 1次治療におけるフッ化ピリミジン系薬剤とベバシズマブの2剤併用療法 (FP+BEV) とそれにオキサリプラチンを加えた3剤併用療法 (FP+OX+BEV) の有効性を第Ⅲ相無作為化比較試験 (JCOG1018) で検討した。 その結果、 FP+BEVに対するOX上乗せの効果は認められず、 OXを追加することで副作用が強くなることが示唆された。 本研究はJ Clin Oncol誌にて発表された。
Limitationとして算出されたサンプルサイズ (片側α : 0.05、 β : 0.3) は、 第III相試験には不十分であった、 とあります。 これだけ大きな研究でも起こり得るので、 教訓とすべき大切な研究です。
FP+OX+BEVは切除不能大腸癌に対する標準治療であるが、 特に高齢患者ではFP+BEVが一般的に使用されている。 しかし、 FP+BEVが標準的である高齢者に対し、 OXを追加した場合の有効性については不明である。
そこで本研究は、 高齢大腸癌患者への3剤併用療法の有効性を検証することを目的とした。
70~74歳でECOG-PS 2および75歳以上でECOG PS 0~2の治療歴のない切除不能大腸癌患者251例が、 以下の群に1:1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は無増悪生存期間 (PFS)、 副次評価項目は全生存期間 (OS)、 奏効割合、 有害事象発生割合、 重篤な有害事象発生割合、 QOLとした。
「PFSにおいて3剤併用群の2剤併用群に対する有意な改善が示され、 かつOSにおいても3剤併用群の2剤併用群に対する改善が示された場合に有効と判断する」 と規定された。
PFS中央値
2剤併用群で9.4ヵ月 (95%CI 8.3-10.3ヵ月)、 3剤併用群で10.0ヵ月 (95%CI 9.0-11.2ヵ月) であった (HR 0.84、 90.5%CI 0.67-1.04、 片側p=0.086)。
OS中央値
2剤併用群で21.3ヵ月 (95%CI 18.7-24.3ヵ月)、 3剤併用群で19.7ヵ月 (95%CI 15.5-25.5ヵ月) であった (HR 1.05、 95%CI 0.81-1.37)。
奏効割合は、 2剤併用群が29.5%であったのに対し、 3剤併用群では47.7%と高かった。
また、 Grade 3以上の有害事象は3剤併用群で多く発現した (52% vs 69%)。 特に多く見られたのは好中球減少、 悪心、 下痢、 倦怠感、 末梢神経障害であった。 治療関連死は2剤併用群で1例、 3剤併用群で3例発生した。
著者らは 「高齢の切除不能大腸癌患者においては、 FP+BEVにOXを追加することの有益性は示されなかった。 高齢患者では、 2剤併用療法が推奨される」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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