海外ジャーナルクラブ
1年前
Leeらは、 術前化学療法を3サイクル以上受けた進行卵巣癌患者を対象に、 腹腔内温熱化学療法 (hyperthermic intraperitoneal chemotherapy:HIPEC) 併用中間期腫瘍減量術(interval cytoreductive surgery; ICS) の安全性と有効性を多施設共同有効性比較コホート研究で検討した。 その結果、 HIPEC併用ICSはICS単独に比し、 無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) の延長と関連することが示された。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
本研究は無作為化試験ではなくコホートであり、 selection/treatment biasの可能性があります。 それが結果にどこまで影響しているのかの評価が困難です。
HIPEC後のICSは、 進行卵巣癌患者の生存期間の延長に有益であることが示されているが、 HIPECを臨床に採り入れることに関するコンセンサスはまだ得られていない。
術前化学療法を3サイクル以上受けた後にICS単独またはHIPEC併用ICSを受けたⅢ期またはⅣ期の進行卵巣癌患者
術前化学療法後のICS単独またはHIPEC併用ICSの実施
PFS
OSおよび安全性
主要評価項目
PFS中央値はHIPEC併用群において有意に改善した。
p=0.005
副次評価項目
OS中央値もHIPEC併用群において有意に改善した。
p=0.002
術後合併症の発生率
グレード3または4の術後合併症の発生率は両群間でほぼ同等であった。
p>0.99
腹膜再発の発生率
再発患者 (128例) の腹膜再発の発生率は、 併用群の方が低かった。
p=0.001
進行卵巣癌患者におけるHIPEC併用ICSは、 PFSおよびOSの延長に有効であり、 術後合併症の発生率の増加とは関連しないことが示唆された。 HIPEC併用群の腹膜再発の発生率の低さは、 OSの改善に寄与している可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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