海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Zandbergらは、 局所進行頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) 患者を対象に、 化学放射線療法 (CRT) とペムブロリズマブ併用の最適なタイミングを第II相無作為化比較試験で検討した。 その結果、 ペムブロリズマブの逐次併用は同時併用と比べて長期予後が一貫して改善した。 また、 同時併用では腫瘍微小環境 (TME) の免疫抑制的な変化が認められた。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。
pick-the-winnerデザインは、 有望な治療法を効率的に選抜できる利点がある一方で、 統計的有意差の検証を行わないため、 選定結果が偶然による可能性が否定できず、 第III相試験で失敗するリスクが残ります。
局所進行頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) に対する化学放射線療法 (CRT) とペムブロリズマブの最適な併用のタイミングは明らかになっていない。
そこで、 併用タイミングが転帰に及ぼす影響を第II相無作為化試験で検討した。
HPV陽性 (喫煙歴>10 pack-yearsまたはT4またはN3) およびHPV陰性の局所進行HNSCC患者80例が以下の2群に無作為に割り付けられた。
対象患者はHPVおよびNステージで層別化して組み入れられた。
「pick-the-winner」 デザインにおいて、 両群が以下の3つの主要評価項目をすべて満たした場合、 1年無増悪生存 (PFS) 率が数値的に優れている群が選択された。
71%が中咽頭癌 (うち53%がHPV陽性)、 92.5%がステージIV (T4: 46%、 N2: 76%) であり、 両群の患者背景は類似していた。
両群とも3つの主要評価項目をすべて満たし、 1年PFSは逐次併用群の方が数値的に良好であった (84% vs 71%)。
4年時の転帰も逐次併用群が同時併用群と比べて良好で、 以下のとおりだった。
HR 0.11 (95%CI 0.01-0.89)、 p=0.012
HR 0.55 (95%CI 0.25-1.22)、 p=0.132
HR 0.51 (95%CI 0.19-1.37)、 p=0.17
治療前およびCRT 2週目の腫瘍生検検体をマルチスペクトルイメージングで解析した結果、 同時併用群では、 腫瘍微小環境 (TME) としてマクロファージ、 PD-L1+マクロファージ、 PD-L1+腫瘍細胞の有意な増加が認められたが、 逐次併用群では認められなかった。
著者らは 「ペムブロリズマブの逐次併用は、 同時併用投与と比べて長期予後が一貫して改善した。 またTMEにおける免疫抑制的変化は両群で異なり、 同時併用群では免疫抑制的な変化が確認された。 これは、 CRT開始前に1回投与したペムブロリズマブによる免疫環境への影響と考えられた。 」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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