【JCO】頭頸部扁平上皮癌へのペムブロリズマブ、 同時併用 vs 逐次併用
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海外ジャーナルクラブ

2ヶ月前

【JCO】頭頸部扁平上皮癌へのペムブロリズマブ、 同時併用 vs 逐次併用

【JCO】頭頸部扁平上皮癌へのペムブロリズマブ、 同時併用 vs 逐次併用
Zandbergらは、 局所進行頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) 患者を対象に、 化学放射線療法 (CRT) とペムブロリズマブ併用の最適なタイミングを第II相無作為化比較試験で検討した。 その結果、 ペムブロリズマブの逐次併用は同時併用と比べて長期予後が一貫して改善した。 また、 同時併用では腫瘍微小環境 (TME) の免疫抑制的な変化が認められた。 試験結果はJ Clin Oncol誌に発表された。

📘原著論文

Randomized Phase II Study of Concurrent Versus Sequential Pembrolizumab in Combination With Chemoradiation in Locally Advanced Head and Neck Cancer. J Clin Oncol. 2025 May 27:JCO2401580. Online ahead of print. PMID: 40424564

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

pick-the-winnerデザインは、 有望な治療法を効率的に選抜できる利点がある一方で、 統計的有意差の検証を行わないため、 選定結果が偶然による可能性が否定できず、 第III相試験で失敗するリスクが残ります。

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背景

局所進行HNSCCへのCRTとペムブロリズマブの最適な併用タイミングは不明

局所進行頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) に対する化学放射線療法 (CRT) とペムブロリズマブの最適な併用のタイミングは明らかになっていない。

そこで、 併用タイミングが転帰に及ぼす影響を第II相無作為化試験で検討した。

研究デザイン

ペムブロリズマブの同時併用 vs 逐次併用

HPV陽性 (喫煙歴>10 pack-yearsまたはT4またはN3) およびHPV陰性の局所進行HNSCC患者80例が以下の2群に無作為に割り付けられた。

  • 同時併用群: 41例
CRT (シスプラチン40mg/m²を週1回+放射線70Gy) の1週間前からペムブロリズマブ (1サイクルを3週間として200mgを1サイクル1回、 8サイクル投与) を同時投与する
  • 逐次併用群: 39例
CRT (シスプラチン40mg/m²を週1回+放射線70Gy) の2週間後からペムブロリズマブ (1サイクルを3週間として200mgを1サイクル1回、 8サイクル投与) を逐次投与する

対象患者はHPVおよびNステージで層別化して組み入れられた。

「pick-the-winner」 デザインにおいて、 両群が以下の3つの主要評価項目をすべて満たした場合、 1年無増悪生存 (PFS) 率が数値的に優れている群が選択された。

  • 1年局所領域再発率<60%
  • 1年PFS率≧60%
  • 用量制限毒性 (DLT) 率≦20%
生存評価項目は単変量Coxモデルで比較された。 治療前およびCRT2週目の腫瘍生検検体をマルチスペクトルイメージングで解析し、 対応のある両側t検定で比較した。

結果

1年PFSは逐次併用が同時併用と比べ良好

71%が中咽頭癌 (うち53%がHPV陽性)、 92.5%がステージIV (T4: 46%、 N2: 76%) であり、 両群の患者背景は類似していた。

両群とも3つの主要評価項目をすべて満たし、 1年PFSは逐次併用群の方が数値的に良好であった (84% vs 71%)。

4年時の転帰も一貫して逐次併用が良好

4年時の転帰も逐次併用群が同時併用群と比べて良好で、 以下のとおりだった。

  • 局所領域再発率 : 96% vs 64%
HR 0.11 (95%CI 0.01-0.89)、 p=0.012
  • PFS率 : 69% vs 49%
HR 0.55 (95%CI 0.25-1.22)、 p=0.132
  • 全生存 (OS) 率 : 83% vs 71%
HR 0.51 (95%CI 0.19-1.37)、 p=0.17

同時併用でTMEにおける免疫抑制的な変化を確認

治療前およびCRT 2週目の腫瘍生検検体をマルチスペクトルイメージングで解析した結果、 同時併用群では、 腫瘍微小環境 (TME) としてマクロファージ、 PD-L1+マクロファージ、 PD-L1+腫瘍細胞の有意な増加が認められたが、 逐次併用群では認められなかった。

結論

逐次併用が長期予後を一貫して改善、 同時併用でTMEが免疫抑制的に変化

著者らは 「ペムブロリズマブの逐次併用は、 同時併用投与と比べて長期予後が一貫して改善した。 またTMEにおける免疫抑制的変化は両群で異なり、 同時併用群では免疫抑制的な変化が確認された。 これは、 CRT開始前に1回投与したペムブロリズマブによる免疫環境への影響と考えられた。 」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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