Shalabi Hらは、 小児・若年成人 (CAYA) 世代のB細胞性急性リンパ芽球性白血病 (B-ALL) 患者を対象に、 CD19とCD22を標的とした二重特異性CAR-T細胞 (CD19.22.BBz) の効果と安全性を検討する第Ⅰ相試験を実施した. 結果、 CD19.22.BBzは安全に使用でき、 有効性を有することが確認された. 本研究はBlood誌において発表された.
背景
単一抗原を標的としたCAR-T細胞療法の寛解持続性は抗原修飾によって制限されるが、 複合標的によって改善できる可能性がある.
研究デザイン
- 対象:CAYA世代のB-ALL患者20名.
- 主要目的:有害事象および用量設定.
- 副次的目的:完全寛解率 (CR) と無再発生存期間 (RFS)
研究結果
有効性評価
- 完全寛解 (CR) 率は、 全コホートで60% (20例中12例) 、 CAR-naïveで71.4% (14例中10例) であった.
- CR達成者の6カ月および12カ月RFSは、 それぞれ80.8% (95%CI:42.4-94.9%) および57.7% (22.1-81.9%) であった.
- EF1a-CD22.BBzと比較して、 MSCV-CD19.22.BBzのCAR-T細胞拡大および持続性は限られていたため、 EF1aとMSCVプロモーターを比較する実験が行われたが、 大きな違いは確認されなかった.
安全性評価
- サイトカイン放出症候群 (CRS):10名 (50%) が発症し、 その内3名 (15%) がグレード3であった.
- 神経毒性:1名にグレード3の神経毒性が確認された.
結論
Shalabi Hらは「CD19.22.BBzの安全性と有効性は、 CAYA B-ALLコホートで実証された. 今後、 複合標的のさらなる最適化により改善が期待される.」と結論づけた.
原著
Shalabi H, et al, CD19/22 CAR T-cells in Children and Young Adults with B-ALL: Phase I Results and Development of a Novel Bicistronic CAR. Blood. 2022 May 23;blood.2022015795.PMID: 35605184