海外ジャーナルクラブ
21日前
Choongらは、 米国のエストロゲン受容体 (ER) 低発現 (ER陽性率: 1~10%) の早期乳癌患者を対象に、 術後内分泌療法 (ET) 実施の有無が生命予後に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 術後ETの省略が全生存期間の有意な悪化と関連し、 特に術前化学療法後に残存病変がある患者やER陽性率が比較的高い (6~10%) 患者で顕著であった。
追跡期間が3年間と短く晩期再発を評価できない点や、 内分泌療法の遵守状況・治療期間、 化学療法の種類、 再発状況、 死亡原因の詳細な情報が欠如している点がlimitationです。
ER陽性早期乳癌では、 術後内分泌療法 (ET) により全生存期間 (OS) が改善する。 しかし、 ER低発現例に対する有用性は明らかになっていない。
そこで、 該当集団を対象に術後ET実施の有無が生命予後に及ぼす影響をデータベースを用いた後ろ向きコホート研究で検討した。
米National Cancer Databaseにおける高リスクのⅠ-III期のER低発現 (1~10%) 早期乳癌患者1万362例のうち、 術前化学療法を受けた患者7,018例が組み入れ基準を満たし、 術後ET実施の有無別のOSが評価された。
OSはET開始を時間依存共変量とし、 Cox比例ハザード回帰を用いて解析された。
12ヵ月時の術後ET脱落率は42%であり、 以下の患者で多い傾向が認められた (いずれもp<0.001)。
追跡期間中央値3年時で586例の死亡が報告された。
多変量解析では、 術後ETの省略に死亡リスクの上昇との有意な関連が認められ (HR 1.23 [95%CI 1.04-1.46]、 p=0.02)、 ER陽性率が高い患者ほど影響が大きかった (1-5%: HR 1.15 [95%CI 0.91-1.45]、 p=0.24) vs 6-10%: HR 1.42 [95%CI 1.00-2.02]、 p=0.048) 。
術前化学療法後の術後ETの省略によるOSへの影響は、 病理学的完全奏効 (pCR) を達成した患者 (HR 1.06 [95%CI 0.62-1.80]、 p=0.84) では認められなかったが、 残存病変がある患者 (HR 1.26 [95%CI 1.00-1.57]、 p=0.046) では短縮が認められた。
著者らは 「ER低発現早期乳癌患者では、 術後ETの省略がOSの有意な悪化と関連し、 特に術前化学療法後に残存病変がある患者やER陽性率が高い (6-10%) で顕著であった。 今後、 前向き研究のデータが得られるまで、 該当患者に対してETの潜在的有用性についてカウンセリングを実施すべきである」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。