【JCO】ER低発現乳癌、 術後内分泌療法省略で死亡リスク上昇
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海外ジャーナルクラブ

21日前

【JCO】ER低発現乳癌、 術後内分泌療法省略で死亡リスク上昇

【JCO】ER低発現乳癌、 術後内分泌療法省略で死亡リスク上昇
Choongらは、 米国のエストロゲン受容体 (ER) 低発現 (ER陽性率: 1~10%) の早期乳癌患者を対象に、 術後内分泌療法 (ET) 実施の有無が生命予後に及ぼす影響を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 術後ETの省略が全生存期間の有意な悪化と関連し、 特に術前化学療法後に残存病変がある患者やER陽性率が比較的高い (6~10%) 患者で顕著であった。 

📘原著論文

Endocrine Therapy Omission in Estrogen Receptor-Low (1%-10%) Early-Stage Breast Cancer. J Clin Oncol. 2025 Apr 11:JCO2402263. Online ahead of print. PMID: 40215443

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

追跡期間が3年間と短く晩期再発を評価できない点や、 内分泌療法の遵守状況・治療期間、 化学療法の種類、 再発状況、 死亡原因の詳細な情報が欠如している点がlimitationです。

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背景

ER低発現早期乳癌に対する術後ETの有用性は不明

ER陽性早期乳癌では、 術後内分泌療法 (ET) により全生存期間 (OS) が改善する。 しかし、 ER低発現例に対する有用性は明らかになっていない。

そこで、 該当集団を対象に術後ET実施の有無が生命予後に及ぼす影響をデータベースを用いた後ろ向きコホート研究で検討した。

研究デザイン

術後ET有無別のOSを評価

米National Cancer Databaseにおける高リスクのⅠ-III期のER低発現 (1~10%) 早期乳癌患者1万362例のうち、 術前化学療法を受けた患者7,018例が組み入れ基準を満たし、 術後ET実施の有無別のOSが評価された。

OSはET開始を時間依存共変量とし、 Cox比例ハザード回帰を用いて解析された。

結果

術後ETの省略で3年時死亡リスク23%増、 ER陽性率高で影響大

12ヵ月時の術後ET脱落率は42%であり、 以下の患者で多い傾向が認められた (いずれもp<0.001)。

  • プロゲステロン受容体 (PR) 陰性
  • HER2陰性
  • 高悪性度 (Grade 2/3)
  • Ki-67高値 (≧20%)
  • 術前化学療法の実施

追跡期間中央値3年時で586例の死亡が報告された。

多変量解析では、 術後ETの省略に死亡リスクの上昇との有意な関連が認められ (HR 1.23 [95%CI 1.04-1.46]、 p=0.02)、 ER陽性率が高い患者ほど影響が大きかった (1-5%: HR 1.15 [95%CI 0.91-1.45]、 p=0.24) vs 6-10%: HR 1.42 [95%CI 1.00-2.02]、 p=0.048) 。

OS悪化は残存病変ありで顕著、 pCR例では影響みられず

術前化学療法後の術後ETの省略によるOSへの影響は、 病理学的完全奏効 (pCR) を達成した患者 (HR 1.06 [95%CI 0.62-1.80]、 p=0.84) では認められなかったが、 残存病変がある患者 (HR 1.26 [95%CI 1.00-1.57]、 p=0.046) では短縮が認められた。

結論

ET省略によるOS短縮は 「残存病変あり・ER高発現」 で顕著

著者らは 「ER低発現早期乳癌患者では、 術後ETの省略がOSの有意な悪化と関連し、 特に術前化学療法後に残存病変がある患者やER陽性率が高い (6-10%) で顕著であった。 今後、 前向き研究のデータが得られるまで、 該当患者に対してETの潜在的有用性についてカウンセリングを実施すべきである」 と報告している。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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