海外ジャーナルクラブ
2年前
Jabbourらは、 フィラデルフィア染色体 (Ph) 陰性B細胞性急性リンパ性白血病 (B-ALL) の新規診断を受けた14歳以上の患者を対象に、 一次治療にブリナツモマブを加えた際の転帰改善効果を検討する単群第Ⅱ相試験を実施。 その結果、 ブリナツモマブを用いた化学療法は、 患者の長期生存に有効であることが明らかとなった。 本研究は、 Lancet Haematol誌において発表された。
Ph陰性B-ALLに対するブリナツモマブの長期予後改善が期待される報告です。 今後のRCT結果が期待されます。
ブリナツモマブは再発・難治性のB-ALLに有効であり、 高い確率で微小残存病変が陰性化される。
Ph陰性B-ALLと新規に診断された14歳以上の患者。
強化化学療法 (hyper-CVAD、 高用量メトトレキサートおよびシタラビンの交互投与) 4サイクルと、 ブリナツモマブ強化療法 (最大28μg/日を28日間連続静注、 42日ごと) 4サイクルの投与を受けた後、 地固め療法を実施。
地固め療法はPOMP (6-メルカプトプリン、 ビンクリスチン、 メトトレキサート、 プレドニゾン) 療法3サイクルとブリナツモマブ1サイクルを交互にブロックした15サイクルで構成。
無再発生存期間 (RFS)
追跡期間中央値:37カ月 (IQR 28-49)
B-ALLと診断された患者38名が治療を受けた
推定3年RFS:73% (95%CI 56-85)。
治療開始後2年以上経過して再発した患者はいなかった。
グレード3の有害事象
グレード3~4の非血液学的有害事象で最も多かったのは感染症であった
治療関連の神経毒性により3% (1名) の患者が治療を中断した。
死亡例は2例で、 1例は感染症、 1例は呼吸不全であり、 治療に起因するものではないと判断された。
ブリナツモマブを用いた化学療法は、 長期生存を可能にした。 今後、 Ph陰性B細胞性急性リンパ性白血病患者の治療にブリナツモマブをルーチンに使用することを評価する無作為化試験が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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